HOMEテクニカルレポートCAEと品質工学

CAEと品質工学寄稿 芝野 広志 氏  高木 俊雄 氏  平野 雅康 氏

実践編:CAEと品質工学を融合した事例

2005/09/05

7.まとめ
― CAE+品質工学は、検討結果が実物に通用するかどうかの検査手段 ―

  コンピュータシミュレーションによる研究は、実物を使った研究より、

  • 実物では測れないものが解析できる。
  • 誤差をたくさん取り入れることができる。

の2点において優秀であり、技術研究にコンピュータシミュレーションを利用するならば、

  1. 簡易モデル/簡易解析
  2. 直交表による実物再現性検査

へのマネージメントが必要である。

図7 スピードアップのための開発プロセス 本事例では、[1.簡易モデル/簡易解析]に対しては2次元モデルに誤差因子を施し静止状態の紙の位置安定性を研究し、[2.直交表による実物再現性検査]に対してはL18直交表を「紙静止状態の2次元モデル」で得た情報の実物再現性検査に利用した。その結果得られた情報で実物を試作し、紙が動く状態の品質を確認した。
  以上のプロセスを図7に示す。開発スピードアップがこのプロセスの目的である。


 技術開発や製品開発の中でCAEをどう利用するかは非常に重要なことである。応用編で述べたように、CAEは簡単迅速で安価であるが、その利点を活かすためにも、開発設計者はCAEをQEで利用すべきである。QEにおけるCAEの活躍を阻む設計定数間の交互作用の検査に品質工学の考え方を用いるのである。
  『CAEでの検討結果が実物で通用するかどうかを検査する』ことがCAEのうまい使い方であり、これが基礎編で述べた品質工学の目的である『無駄な仕事をさせないこと』につながることを記憶にとどめてほしい。



前へ <1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19>