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CAEと品質工学寄稿 芝野 広志 氏  高木 俊雄 氏  平野 雅康 氏

応用編:CAEと品質工学の融合とは

2005/08/05

2. 品質向上活動とは

 CAEと品質工学の融合について述べるために、まず品質向上活動について説明する。
 品質向上活動は、次の3段階に分けることができる。

第1シーン QC(Quality Control 製造現場の検査を主体にした段階)
第2シーン QA(Quality Asuarance ユーザー満足度の検査を主体にした段階)
第3シーン QE(Quality Engeneering 品質を工学的に作りこむ段階)

 戦後まもなくはじまった第1シーンQCでは、結局TQCやSQCが叫ばれるようになったと記憶している。この活動により製造現場の検査が充実した。この活動は直接CAEと関係がないと思われる。

 1980年頃からはじまったと認識している第2シーンQAの活動から品質保証部が活躍しはじめた。製造段階より上流の製品企画/開発設計段階からユーザー満足度を作りこむための活動であり、経営としては当然の活動である。第2シーンから、(1)(2)として前述した特徴を生かしたCAEが使われてきたと考えている。自動車の衝突シミュレーション解析や歯車の(破壊するかどうかの検査のための)応力集中解析などが、このQA活動の一環といえるだろう。第2シーンQAで利用されるCAEは、可能な限り実物に近い解析(精密な理論式、詳細な要素モデルを使った解析)をしなければならない。なぜならユーザーが満足するかどうかを検査するためにCAEを使うからである。従って、実物と遠い条件で解析をしてユーザー満足度を論じても意味がなく、CAEは「実物ありき」の前提で利用されることが多くなる。

  第1シーンQCや第2シーンQAでは問題を見つけて問題を解決する過程を踏みがちであるのに対して、第3シーンQEは問題を出さない活動である。QAの段階とは異なり図面を書く前、実物を作る(試作)前に利用することになる。



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