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CAEと品質工学寄稿 芝野 広志 氏  高木 俊雄 氏  平野 雅康 氏

基礎編:品質工学の考え方と活用のポイント

2005/07/04

4.品質工学による仕事の流れ

 品質工学による製品開発、技術開発では、仕事の流れを3つのステップに分けて考える。

 第1ステップはシステム選択(設計)と呼ばれるステップで、目的とする機能を有するシステムを創造し、選択するステップである。技術者の固有技術、創造性が必要であり、出来るだけ多くのアイデアを出すことが重要である。その中から可能性のありそうなシステムを選び、次のステップに移る。

 第2ステップはパラメータ設計と呼ばれる。第1ステップで選んだアイデアを最適化し、機能の安定性確保と特性値を目標値チューニングする。設計の中心値を決定し、選択したシステムの機能限界を見極める最も重要なステップである。

 第3ステップは許容差設計である。パラメータ設計で最適化されたシステムの許容差を、コストと機能のバランスを取り合理的に決めるステップで、設計値の幅を決め、最終的な出図につなげる。パラメータ設計で十分な機能の安定性を確保できていれば、許容差設計は簡単である。

 以上、品質工学を使った仕事の進め方と、活用のポイントを説明してきたが、次章ではパラメータ設計の実施事例を使って、品質工学の基本的な考え方と効用について具体的に解説する。



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