HOMEテクニカルレポートCAEと品質工学

CAEと品質工学寄稿 芝野 広志 氏  高木 俊雄 氏  平野 雅康 氏

実践編:CAEと品質工学を融合した事例

2005/08/24

1.CAEと品質工学の融合事例およびその背景

 実践編では、基礎編・応用編を振り返りながら、我々が実践した事例を使ってCAEと品質工学の融合方法を具体的に説明する。

―紙送り技術評価の課題―

 複写機やプリンターにおける紙送りの安定性は、技術品質(JAMやスキュー)に影響する重要なアイテムである。通紙経路の複雑化/コンパクト化にともない、今後ますます重要になってくる技術といえる。しかし、その技術の評価方法は紙の動きを目視評価することやJAM率を計測することが精一杯であり、通紙技術への要求の高度化に伴う評価方法の発展が望まれている。

 紙送り技術の評価が目視評価やJAM率計測に留まっている原因は、紙の位置を測ることができないからであると考えられる。紙は柔軟でかつ湿度などの影響を受けやすい物体であり、そのような物体、しかも狭い経路を高速で動いている物体のリアルタイムな位置計測は意外と難しい。

 こうした「紙送り技術の評価課題」に対し、実物で測れない紙の位置をコンピュータシミュレーションで計測(解析)することで新しい通紙経路の安定性の検討を行うことにした。これを実践編で扱う事例としたい。




前へ <1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19> 次へ