アンテナの歴史と未来
寄稿 安達 三郎 氏
第1回:黎明
序
アンテナとは電気回路に閉じ込められた電磁エネルギーを、開いた空間を伝搬する電磁波に変換するデバイス、あるいは逆に到来する電磁波を受けてこれを電気回路エネルギーに変換するデバイスと言うことができよう。ふつう前者を送信アンテナ、後者を受信アンテナと呼ぶ。送信アンテナと受信アンテナの働きには本質的な差はなく、それがどちらに便利に使用できるかだけの差である。
アンテナの歴史を客観的に正しく論ずるのは至難の業であると考える。確かな証拠に基づいた、いわば定説とされているものにしたがって書いたつもりであるがときとして私の思い違いや偏見があることを恐れるところである。未来については、現在の延長として予測できる範囲内で私見を交えて述べることにする。
アンテナはそれが使用される無線システムと共に発達してきたと考えるので、アンテナ自体だけでなくそれが考案された時代背景や無線システムとともに物語的に記述することにした。なお、各アンテナの技術的内容については専門書に譲ることとしてここでは詳しくは述べていない。
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