バージョン情報
2次元有限差分法解析システム FLAC V.7.0
FLACでは、内部計算のエンジンの高い信頼性を保ったまま、ユーザーインターフェイスを刷新して高速化を図ることにより、操作性が大幅に向上しています。また、その他多くの機能が追加、改良されています。
追加、改良された機能は以下の通りです。(完全な改良された機能一覧はデモバージョンに含まれるドキュメントに含まれています。)
1.GUIの機能向上
GUIのレイアウトを改良し、ユーザーにとってモデル作成や操作がしやすくなりました。クリックとマウスのドラッグでモデルの操作やプロットビューが簡単にできるようになりました。
2.グリッド生成ツール
FLAC7.0では2つの新しいモデル作成をより簡単にするグリッド生成ツール(Sketch toolとGeometry Builder tool)が加わりました。これらにより、手軽にグリッドを作成しより正確な計算結果を求めることが可能になります。
ユーザーはSketch toolで入力データを入力、もしくはCADデータを読み込みます。Sketchは3つあるFLACでグリッドを作る方法のうちの1つです。
- Sketchはユーザー定義のグリッド、またはグリッドライブラリーテンプレートのバックグラウンドイメージとなります。グリッドはスケッチの内外の境界に沿うように固定されます。
- スケッチはSketch toolによって一連の表としてエクスポートされます。表は「GEN TABLE」コマンドによって形状が座標にフィットするようになります。
- スケッチした形状は「Geometry Builder tool」によって格子状のブロックに分割されます。その後、「Virtual/Edit tool」を用いてブロック内のゾーニングを生成・変更することができます。
3.並列化計算への対応
最近のPCのマルチコアプロセッサーに対応するために、FLAC7.0はマルチスレッドの計算に対応するようにしました。プロセッサーの数、アーキテクチャ、RAMによって向上率は変化しますが、2.67 GHz Intel core i7のマルチプロセッサーのPCを使用した場合、FLAC7.0での計算速度は約3倍になりました。なお、現状ではFISHを組み込んだモデルに対してはマルチスレッドに対応しておりません。
4.安全率
FLAC7.0では安全率の計算を改良し、計算の高速化を実現しました。せん断強度低減法においてはブラケットの大きさを指定することが可能です。また、指定した安全率と実際の安全率の比較もできます。この新しい安全率についてはFLAC7.0マニュアルに例題なども含めて詳しく説明してあります。
5.新しい構成則
- 修正Hoek-Brown法
- Hoek-Brown法の修正版であるMHOEK法はダイレタンシー角による流れ則を取り込みました。また、引張降伏も追加され、「SOLVE fos」コマンドを使用することでせん断強度低減法にも対応します。
- CHSoilモデル
- CHSoilモデルは双曲線モデルによる硬化則、Mohr-Coulombせん断エンベロープ、2つの組み込みのダイレタンシー法(Roweのダイレタンシー法とユーザー定義の硬化/軟化則)に対応します。またCHSoilモデルは非線形弾性のダンカンチャン法に替わって使用することも可能です。
6.Liner (M-P ダイアグラム)
構造要素のlinerロジックについて以下の改良が加えられました。
- lookupテーブルにカスタマイズしたM-Pダイアグラムが入力できます。
- 無補強ライナーの計算時の亀裂進展を可能にしました。
- 残留圧縮強度がプロパティに追加されました。これはピーク強度に達したあとに適用されます。
7.Additional Features
- 「CYSOIL」モデルの改良がなされました。「COHESION」と「TENSION」が考慮され、硬化/軟化テーブルがlookupテーブルの「CTABLE」と「TTABLE」で定義できます。
- アタッチリストからグリッドポイントを取り除くための「ATTACH REMOVE」コマンドが追加されました。
- ノードオフセットをプロットするためのキーワード「nd_ex1」「nd_ex2」と、エレメントオフセットをプロットするためのキーワード「el_ex1」「el_ex2」が追加されました。