高圧ガス設備等における配管系の耐震設計と解析寄稿 本橋 賀津彦
第3回(最終回):ノズル接合部の耐震評価について
2005/05/16
4. 有限要素解析による応力の算定
近年、有限要素法のプリ・ポストシステムは格段の進歩を遂げています。以前は、有限要素モデルのメッシュ作成や解析条件の設定等にはある程度の経験やスキルが必要でしたが、最近では簡単に解析用のデータの作成ができるようになっています。そこで、MSC.Nastran for Windowsを使って、円筒胴に接続されたノズルについて有限要素解析を実施し、バイラード法による結果との比較を行なってみました。
4.1 有限要素モデル
寸法の異なる4つのモデルについて、ノズル頂部に3方向それぞれに荷重を与えてノズル接合部近傍に発生する応力強さを算出しました。有限要素解析では、モデル化の範囲や境界条件の設定が重要になりますが、今回は以下のような解析条件で計算を行ないました。
解析モデル
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モデルケース
寸法単位: mm |
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荷重ケース
単位: N |
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Nastranによるモデル化例
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モデル1 使用要素:CQUAD4 総節点数: 3800 |
4.2 結果比較
バイラード法で求められた最大の応力強さを有限要素解析の最大の応力強さで割った値を以下に示します。なお、有限要素解析で算定される応力は1次+2次+ピーク応力であり、応力評価を行なうためには、これを1次応力、1次+2次応力に分類する必要がありますが、今回の計算では応力の分類は行なっていません。
バイラード法/FEM |
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最大応力の比は概ね1.0に近い値を示しており、双方の結果が概ね一致していることが分かります。ただし、モデル2のケース2については、バイラード法の結果がFEMより3倍程度大きくなっています。これは、図表1Cや2Cの応力係数の読み取りにおいて、形状パラメータが範囲外になっていることが原因と考えられます。今回のバイラード図表の読み取りでは、形状パラメータが図表ラインの範囲外となっている場合、ラインを延長して外挿することはせず、ライン端点での読み取り値を使用しています。図表1Cの場合、今回の読み取り値と外挿した値とでは3倍強の差があり、この差がそのまま最大応力の差になっています。

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<1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12> | ![]() |