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高圧ガス設備等における配管系の耐震設計と解析寄稿 本橋 賀津彦

第2回:レベル2耐震性能評価と等価線形解析法

2004/04/01

3. 荷重の組合せ

レベル2耐震性能評価において対象となる配管の荷重の組合せは、レベル2指針[表9.2.3(1)]等より以下のようになります。

表1 レベル2耐震性能評価における荷重の組合せ
表1 レベル2耐震性能評価における荷重の組合せ

レベル1耐震評価では、個々の荷重ケースを単独で解析し、それぞれの断面力の結果を絶対値で足し合わせて応力を算出しています。一方、レベル2耐震性能評価では、材料の降伏点を超えた非線形領域での解析を行うため、断面力の単純な足し算を行うことはできません。したがって、レベル1耐震性能評価では応力算出時に荷重の組合せを行いますが、レベル2耐震性能評価では解析の段階で荷重の組合せを行う必要があります。また、非線形領域では荷重のプラス・マイナスの方向によって解析結果が異なるため、AutoPIPEのKHK-2コードの慣性力および応答変位の解析では、以下に示すようにすべての荷重方向の組合せについて解析できるようになっています。

表2 AutoPIPEにおける慣性力および応答変位の組合せ
表2  AutoPIPEにおける慣性力および応答変位の組合せ
ここで、 W : 自重(管重量、保温材重量、内部流体重量)
P : 内圧
±X : X方向の慣性力
±Z : Z方向の慣性力
±Y : Y方向の慣性力
±DX : X方向の慣性力による配管支持点の応答変位
±DZ : Z方向の慣性力による配管支持点の応答変位

配管系が複数の支持構造物に接続されているような場合、それぞれの支持構造物は異なった周期で振動します。AutoPIPEの地震相対変位解析には、それぞれの配管支持点に位相番号を割り当てることで、最大応答量を求める機能があります。しかしながら、等価線形解析法では、慣性力による荷重と応答変位による荷重とを同時に解析する必要があるため、位相を用いた地震相対変位解析の機能を使用することはできません。したがって、AutoPIPEの等価線形解析における相対変位の荷重ケースについては、通常の強制変位と同じように扱われます。


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