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高圧ガス設備等における配管系の耐震設計と解析寄稿 本橋 賀津彦

第2回:レベル2耐震性能評価と等価線形解析法

2004/04/01

4. 許容塑性率

レベル2地震動に対する許容塑性率は、慣性力および相対変位に対して塑性ひずみ2%(片振幅)、地盤変状に対して塑性ひずみ5%となっています。しかし、梁モデルをベースとする配管系のプログラムでは塑性ひずみの算出ができないため、曲がり部にあっては曲がり管の変形角度が同表に示す許容変形角度 以下であることを確認します。なお、同表の許容変形角については、90度エルボに対する値であり、45度や60度等の曲がり管につての許容変形角は、角度に応じて内挿します。また、分岐管や直管部では過度に塑性化することは好ましくないため、見かけの応力を算出して同表の許容応力以下であることを確認します。

表3 レベル2地震動に対する許容塑性率
表3 レベル2地震動に対する許容塑性率

ここで、 h : 曲がり管のたわみ特性値
S : 耐圧部材の耐震設計用許容応力であって、告示の[表 16.2]の左欄に挙げる材料の種類に応じ、右欄に既定する値。
  : 材料の設計温度における降伏点または0.2%耐力であって、特定設備検査規則別表第4に挙げる値。

5. 代替評価法

配管系のレベル2耐震性能評価のうち慣性力および応答変位に係わる評価は、代替評価法によっても良いと告示で規定されています。レベル2耐震性能の評価は、レベル2地震動に0.5を乗じた値に対してレベル1耐震性能評価を行うことにより替えることができます。代替評価法の計算方法および評価方法はレベル1耐震性能評価に準じるため、AutoPIPEのKHK-1コードによって計算および評価することができます。ただし、次の点は異なるため注意が必要です。

(1) 基準応答倍率は、地域区分にかかわらずレベル1耐震性能評価における特AおよびA地区のものを採用します。

(2) 基準応答倍率は短周期側で、レベル1基準応答倍率を修正し、レベル2指針の[図7.3-1]によります。

(3) BおよびC地区の地域係数 は、レベル1地震動のそれぞれ0.6および0.4に対して、レベル2地震動ではそれぞれ0.7および0.7となります。

(4) 配管支持構造物の地震慣性力に係わる応答変位を代替評価法により算出する場合は、当該計算値を配管支持点の相対変位量として設定しますが、応答変位をレベル2指針[9.2.1]解説(4)または(5)により算出する場合は、当該計算値に0.5を乗じた値を配管支持点の相対変位量として設定します。

 なお、地盤変状についての代替評価法はないため、地盤変状に係わる評価については等価線形解析法によることになります。


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