バージョン情報
PFC7.0 新機能
PFC7.0が好評発売中です。このバージョンの機能は、粒子、製造、土壌分野のシミュレーションのアプリケーションとして、また破砕を含むボンドブロックモデリング(BBM)としての新たな領域を開拓します。
最新バージョンのPFCでは、モデリング機能の大幅な機能強化、マルチスレッドFISHを使用した高速処理、および多くの接触モデル追加等、機能が拡充されました。
リジッドブロックの強化
計算効率の向上に加え、以下のようなことが可能となりました。
- 接触の情報を保ったまま、計算中にブロックの切断
- 容易にブロックに対して境界条件を付与
- Facetの集合体からモデル化
- ブロックの切断による密な堆積
一般化されたクランプのモデル化
クランプのモデル化が一般化されたことにより、ボールの集合体やコンベックスリジッドブロックを一つの塊としてクランプにすることができます。これにより、以下のようなことが可能となりました。
- 凹型の物体をPebbleの代わりにリジッドブロックでモデル化可能
例えば、従来クランプでモデル化していた下図のような形状をモデル化する際に、モデル表面の凹凸や法線方向の剛性の問題を解決することができます。 - Fragmentationの解析の改良:クランプやリジッドブロックを計算中に接触情報を失わずに、破砕させることが可能
例えば、クランプをPebbleに分解させることも可能です。 - クランプの慣性モーメントや体積の計算がマルチスレッド計算に対応
Inlet Logic(流入量の設定)
ボール、クランプ、リジッドブロックの流入量(生成量)を指定することができます。
- 設定したい粒度分布持った粒子群をあらかじめ読み込むことで使用可能
- 流入量やその位置や角度の指定が可能
- 計算を行いながら、指定した速度で流入口を動かし、回転させることも可能
FISH言語のマルチスレッド化
FISH言語がマルチスレッド化され、これにより処理速度が向上しました。マルチスレッド化されたことを最大限生かすために、LISTデータタイプ、SPLITTING構文、OPERATORSといった機能が追加されました。
新しい接触モデル
- Edinburgh-Elasto-Plastic-Adhesive (EEPA) Contact Model:Walton and Braun (1986) により考案された線形履歴モデルの拡張です。引張力の進展と、圧縮過程で力-変位関係の非線形性が考慮できます。PFC7.0に実装されているモデルは、Morrisey (2013) により提案されたモデルが基本となっています。
- Johnson-Kendall-Roberts (JKR) Contact Model:Johnson (1971) によるHertz接触モデルの拡張です。Hertz接触モデルはファンデルワールス力による張力をモデル化しますが、このモデルでは、毛細管力による張力をモデル化します。
- Spring Network Contact Model:岩石などのボンドブロックモデル(BBM)における、ハイブリッド格子/ DEMアプローチを用いた、剛体ブロックでの弾性連続体モデルです。Paralel-bondモデルやSoft-bondモデルと類似していますが、以下のような利点があります。
- 物体の剛性から応力の不均一性をコントロール
- 物性値のキャリブレーションが不要。物性値は接触力を考慮し、自動的に補正。これは、ブロックの平均応力テンソルと弾性挙動に基づく。
FISH Contact Model(FISH言語による接触モデルの構築)
FISH言語を用いて接触モデルを構築することが可能となりました。これまで同様にC++Plug-InやFISH intrinsicsも使用可能です。FISH言語で接触モデルをカスタマイズする際には、変位-力関係を満たすために、9つの引数が必要となります。
FISH言語に元々組まれている変数と任意の変数の両方が使用可能です。ただし、任意の変数の種類が多いと計算負荷が大きくなるので、FISH言語に組み込まれている変数を使用することを強く推奨します。

その他
- ボールやリジッドブロックのパッキング時に応力の概念を導入
- SOLVECONVERGENCEコマンドを導入。モデル内のすべての接触の最大収束値に基づき収束計算を実施します。各接触点における収束値は目標とする応力比と現在の応力比の比率に基づき定義されます。
- Linux OSでの計算が可能。性能が高いLinuxマシーンやAWSでの計算が可能となりました。