レールの探傷解析(Bスコープ解析)
目的
ComWAVEでは図1のように、セクタスキャンとリニアスキャンの送受信設定を自動化できます。この機能を使用し、図2・図3のモデルでレールの探傷解析を行います。レール上部に128ch 水浸アレイ振動子(探傷周波数2MHz(図4)、水距離20mm)、レール内に3種類の欠陥(水平方向長さ3mm、5mmおよび傾き30度長さ5mm)を配置します。探傷方法は、32chを駆動させリニアスキャン、セクタスキャンとします。その際の探傷方法の違いによる欠陥の検出性を評価します。
解析結果
図5・図6に各モデルにおける探傷波形およびBスキャン画像を示します。1番右の30度の傾きを持った欠陥は、セクタスキャンのBスコープ表示(図5)ではっきりと確認できます。しかし、リニアスキャンではセクタスキャンほど強くは確認できません(図6)。このように探傷方法の違いにより、Bスコープの欠陥エコーの強弱に違いが起きます。
図7・図8にAスコープ計算時の超音波伝搬図を示し、欠陥エコーの受信位置を比較します。すると、リニアスキャンではセクタスキャンに比べ、傾き30度からのき裂エコー経路が入射経路から大きくずれているため、受信アレイにほとんどエコーが戻らないことがわかります。
このように、シミュレーションを行うことで超音波の伝播を可視化することができ、同じ欠陥の位置でも探傷方法の違いで、エコーの強弱が異なる理由を視覚的に確認することができました。
アレイプローブの遅延時間自動設定機能

アレイプローブの個々の振動子からの超音波放射遅延時間を自動計算します。これにより、セクタスキャン、リニアスキャンの送受信条件設定を自動化します。
レールの探傷解析モデル(2次元モデル)
セクタスキャン
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図2 |
リニアスキャン
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図3 |
解析条件
材料 | 縦波音速 |
横波音速 |
密度 |
---|---|---|---|
水 | 1,500 m/s |
- |
1,000kg/m3 |
レール | 5,900 m/s |
3,200 m/s |
7,800kg/m3 |
要素数:3,082,458
メッシュサイズ:0.035mm
入力周波数:2MHz

Aスコープ、Bスコープ表示
セクタスキャン

リニアスキャン
