DYNA2Eユーザー各位
2018年3月16日
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
科学システム本部 社会基盤営業部
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は、格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
この度DYNA2Eの基礎浮上り回転ばねの非線形解析に関して、過去にリリースした一部のバージョンにおいて不具合が確認されましたので、お知らせ致します。
敬具
DYNA2Eのバージョン(Ver7.2.47およびVer8.0.01)の不具合の報告
1.不具合の概要
基礎浮上り回転ばねの非線形解析において、回転ばねのダンパーを接地率に比例させて解析する際、接地率の初期値が反映されない。
対象バージョン
Ver7.2.47(HASP認証版)
Ver8.0.01(Web認証版)
なお、本不具合はVer7.2.47およびVer8.0.01以外では確認されていません。
計算結果におけるバージョンの確認の方法
解析リストのバナーページの最後部に、それぞれ『 D Y N A 2 E VERSION 7.2.47 』『 D Y N A 2 E VERSION 8.0.01 』と記載されているため、同バージョンでの実行結果であるかどうかは、こちらで確認することが出来ます。
2.不具合の詳細
DYNA2Eバージョン(Ver7.2.47およびVer8.0.01)の不具合について、以前のバージョン(Ver7.2.46 以前およびVer8.0.00)の差異を以下に示します。
Ver7.2.46 以前およびVer8.0.00
- 基礎浮上り回転ばねのダンパーは、α=6.0で固定していました。
プログラム上は、減衰マトリックスを作成する箇所で、接地率の算出を行っています。 - 減衰マトリックスの更新は、毎ステップ更新するようにしていました。
→地反力分布の係数αが、α=6.0の場合は、適切な解析を実施していました。
Ver7.2.47およびVer8.0.01における変更
- 基礎浮上り回転ばねのダンパーを、α=6.0、4.7に依存して変更するように修正致しました。
- 接地率の算出は、回転ばねモーメントと回転ばねの減衰力を足し合わせて算出します。
接地率の算出は、プログラム上は、復元力特性のチェックの箇所で算出するように修正致しました。 - その時に、接地率ηの初期値が設定されていなかったため、初期ステップのみ、減衰マトリックス作成時に回転ばねのダンパーがゼロで評価される。(本不具合)※
※ η=2/(α-2)×(α/2-(Mr+Mc)/M0)
α | 地反力分布の係数(α=6.0、4.7) |
---|---|
M0 | 浮上り限界モーメント |
Mr | 回転ばねモーメント、Mc:回転ばねの減衰力 |
Cr=Cr0×η^(α/2)
Cr | 回転ばねのダンパー |
---|---|
Cr0 | 初期の回転ばねのダンパー |
3.プログラムの修正
バージョン(Ver7.2.47およびVer8.0.01)に対して、以下の修正を行なった修正版をリリースする予定です。
基礎浮上りに関する修正内容
- 減衰マトリックスは、基礎浮上り回転ばねの剛性が更新された場合に変更します。
- 接地率ηの初期値を設定する。η=1.0
DYNA2E_Ver7.2.46以前および8.0.00のフロー

DYNA2E_Ver7.2.47およびVer8.0.01のフロー

DYNA2E_Ver8.1.0の修正フロー

4.バージョンの違いによる解析結果の影響
解析モデルや解析に用いる地震動などの条件によってはバージョン(Ver7.2.47およびVer8.0.01)と本不具合を含まないバージョン(Ver7.2.47およびVer8.0.01以外)の解析結果において、わずかですが差異が生じる場合があります。
基礎浮上り回転ばねの非線形解析で回転ばねのダンパーを接地率に比例させる機能を用いる場合は、バージョンの違いによる解析結果への影響については、ご確認いただくことをお勧め致します。
5.修正版の提供について
バージョン(Ver7.2.47およびVer8.0.01)に対して前述の修正を加えた最新バージョン(Ver8.1.0)を3月末を目処にリリースする予定です。なお、最新バージョン(Ver8.1.0)においては、以下に示す項目も併せて修正し、提供致します。
動的解析における修正事項(解析リストのタイトル表示)
● 修正前
点加振の動的非線形解析の場合に、シェル要素(「QPLR」)、ソリッド要素(「HEXA」)の最大応力のリスト出力のタイトルが「NON-LNR CNPNT TBL 荷重タイトル」となっています。
● 修正後
解析リストのタイトル表示を「RESPONSE VALUES WITH ACCELERATION WAVE 荷重タイトル」に出力の修正を行います。
複素応答解析における修正事項
● 修正前
TYPEデータのKey3に「COMP」を指定し、データ内にMKTMデータを指定した場合に生じます。具体的には、指定した時刻とは異なる時刻にて解析リストやポスト結果に出力されます。
● 修正後
指定した時刻が、適切に出力されるように修正を行います。
静的非線形解析における修正事項
● 修正前
TYPEデータのKey2に「STAT」を指定し、NONLデータのKey3に「CONV」を指定した場合に生じます。具体的には静的非線形解析において、収束計算(NONL、CONVデータ)を行った場合、解析が中断します。
● 修正後
収束計算が、正常に実行されるように修正を行います。
動的解析における修正事項(減衰の非線形要素)
● 修正前
解析データで、シェル要素(「QPLR」データ)またはソリッド要素(「HEXA」データ)を設定し、かつ「VIS1」データ、「VIS2」データ、「VIS3」データの何れかを設定した場合に生じます。具体的には、シェル要素(「QPLR」データ)、ソリッド要素(「HEXA」データ)を含む解析モデルにおいて、減衰の非線形要素(VISデータ)を用いた場合に、解析が中断します。
● 修正後
減衰の非線形要素(VISデータ)が適切に反映されるように修正を行います。
動的解析における修正事項(モード減衰の入力設定)
● 修正前
TYPEデータのKey4に「MODE」を指定し、データ内の「MDMP」データで指定した場合に生じます。具体的には、動的解析において、減衰の種類にモード減衰(MDMPデータ)を用いた場合、ユーザーが入力設定したモード減衰と異なる値が設定されます。
● 修正後
入力設定したモード減衰(MDMPデータ)の値が、適切に解析に設定されるように修正を行います。
動的解析における修正事項(高減衰特性HDRに関わる免震特性データの設定)
● 修正前
- 非線形特性の「SKCV」データの3フィールド目のTypeを20と指定した場合に骨格曲線上の剛性が割線剛性となります。
- 「SKCV」データの免震特性の8フィールド目の特性番号を2(KL302)、3(KL501)、6(TOYO)の何れかを指定した場合に、剛性の評価および非線形特性を定義する数式の一部に誤りが含まれます。
● 修正後
- 骨格曲線上の剛性を接線剛性に修正を行います。
- 剛性の評価および非線形特性を定義する数式の一部の修正を行います。
6.お問合せ先
本件に関するお問合せは、以下のDYNA2Eサポートチームまでお願い致します。
DYNA2Eサポートチーム
メール:dyna-applic@ctc-g.co.jp
電話:03-6420-2650