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サンプル&事例紹介WITNESS:生産・物流・プロセスシミュレーションソフトウェア

ユーザー事例

WITNESSを使ったRAM分析

RAMは、Reliability:信頼性、Availability:可用性、Maintainability:保守性を表し、設備が生産条件を満たしつつ、どの程度の時間にわたり稼働を続けられるかを定量的に評価する手法です。
世界的に有名なエンジニアリン会社は、天然ガスの貯蔵設備 に対してWITNESSを使用したRAM分析を行い、新たな設備投資が必要かを判断しました。

本事例では以下の流れでモデリングとシミュレーションを行っています。

  • 季節的に変化する需要と供給のデータを使い、設備の稼働条件を決定する。
  • 稼働条件に応じて障害発生の頻度、および復旧にかかる時間を変化させる。
  • 生産条件を満たせない状態になった場合、ログを出力する。

1. ガスの注入および生産条件

その日に稼働させる設備の数と運転条件は、図1に示すガスの需要と供給のサイクル、および貯蔵量で決まります。たとえば、生産モード(タンクからガスを放出する)において、貯蔵量が1000 MMcmより大きい場は、圧力が十分に高いため、設備(コンプレッサトレイン)を稼働させる必要はありません。

需要と供給のサイクルは、季節によって変化します。

  • 注入モード:夏の間、貯蔵設備にガスを満たすために行われます。
  • 生産モード:冬の間、ガスを近隣の都市に送ります。
  • 交換モード:春と秋、注入モードと生産モードを断続的に繰り返します。
図1 注入/生産モード

図1 注入/生産モード

貯蔵設備の圧力が増減すると次の動作パラメータが変更されます。

  • コンプレッサトレインの数:0(生産モードの初期)~3(注入モード、生産モードの内の数日間)
  • コンプレッサの動作モデル:並列(2つステージに分ける場合)、直列(すべてを最初のステージに送る場合)

2. 貯蔵装置

図2はWITNESSのタンクモデルおよびパイプモデルで作成した、ガス貯蔵装置です。

図2 ガス貯蔵装置

図2 ガス貯蔵装置

注入の際のパイプ(左側)のインプットルールは以下になります。

生産の際のパイプ(右側)のインプットルールは以下になります。

INJECTION_RATEとPRODUCTION_RATEは稼働が必要な設備の数や運転モードを決定するために、日々変更されます。

3. コンプレッサトレイン

図3は3台のコンプレッサトレインのステータスを表しています。
コンプレッサトレインに障害が発生すると、アイドル状態にあるコンプレッサトレインが起動します。障害発生率は過去のデータに基づいて設定されます。

図3 コンプレッサトレイン

図3 コンプレッサトレイン

4. 交換モード時のオペレーション

交換モードは、注入モードと生産モードを繰り返すもので、春や秋に数日間、寒さが続く際に使用されます(注入サイクルが終了する9月26日から生産サイクルが開始する12月4日までなど)。確率変数を使い、1年ごとに交換モードを利用する回数と期間の長さなどを決定します。

5. ログの記録

障害が発生し、必要なバックアップを起動できなかった場合は、ログに記録します。
注入モードでの障害発生は充填の遅れを意味し、生産モードでの障害発生はガス供給量の低下を意味します。

6. 実行結果

このモデルを実行した結果、障害により正常に運用できなかったのは、30年で合計26回、注入モードで20回、生産モードで6回でした。注入モードでの20回の停止は、サイクルタイムを少し長くしましたが、生産への影響はありませんでした。
生産モードで6回発生した障害の影響は、稼働時間全体うちの0.06%だったため、新たな設備投資は不要と判断されました。