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「品質工学」は何を目指しているのか品質工学って何?寄稿 品質工学会副会長 原 和彦 氏

第5回:21世紀は予測技術の時代

2004/09/07

結びの言葉に代えて

 世の中には数多くのもの造りの手法が溢れているが、「社会的な損失を最小にする」という新しい概念で登場したのが品質工学である。

 品質工学の歴史は50年以上になるが、従来の規制の概念と考え方が異なるために簡単に受け入れられなかったことは日本の将来のためにも残念なことである。今、品質工学会では「機能性の評価」という新しい概念をつくり、できれば部品や商品などの取引における国際的な基準(ISO)にしたいと考えている。

 今、商品を買うときに価格や性能などのスペックは表示されているが、品質レベル(信頼性)まで評価しているものはないのが現状である。これからの世界では商品の働きを規格化することが必要である。商品を買う前に品質と価格が分かれば消費者は安心して買うことができるのである。

 メーカーは「この商品をこのような方法で評価して出荷しました」という明示をすれば追跡可能であり、透明性がでてくる。この評価尺度がSN比であり、従来のMTBFなどの故障率の尺度に変わるものである。

 技術者は自分のやったことは正しいと思っているが、正しいということを証明する方法を持っていない。技術者の評価尺度がSN比である。

 最後に、品質工学を勉強するには、品質工学会(Tel:03-3583-8234)に入会するのが手っ取り早い。ホームページはhttp://www.qes.gr.jp/ である。



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