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「品質工学」は何を目指しているのか品質工学って何?寄稿 品質工学会副会長 原 和彦 氏

第4回:品質工学では何をするのか

2004/08/24

4-5 不良率は品質の評価にはならない

 従来設計や製造工程では「不良率」を使って品質管理を行ってきた。しかしお客の立場では「規格」に対する合否の判定よりは「目標値からの誤差」が重要なのである。品質工学では、この誤差に比例する損失を「損失関数」という尺度で表して、お客の品質損失を金額換算するのである。

 損失関数は、 で表される。

  は目標値からのズレの二乗誤差であり、  はSN比の真数を表す。

第8図

 損失関数で品質を表すと、合格品の隠れた損失があることが分かり、不良率とは関係なく、実際にお客が蒙る損失が設計段階で分かるのである。第8図は実際にアメリカで起きたソニーのカラーTVの品質問題であるが、不良率はアメリカ製の製品の方が日本製よりも低いのであるが、損失関数で評価すると、市場における品質はアメリカ製の方が3倍も悪いことが分かる。




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