HOMEテクニカルレポート「品質工学」は何を目指しているのか

「品質工学」は何を目指しているのか品質工学って何?寄稿 品質工学会副会長 原 和彦 氏

第4回:品質工学では何をするのか

2004/08/24

4-3 品質が欲しいときは品質を測るな

 品質工学の合言葉に「品質が欲しいときは、品質を測るな(To get quality, Don’t measure Quality)」があるが、第1回でも説明したように、問題が起きたときに問題の原因を調べることが従来のやり方であった。

 たとえば、「ブレーキの鳴き」の問題は長年にわたって顧客の不満をまねき、自動車メーカーを悩ませてきた。従来の対策はブレーキパッドの材質に添加剤を入れて対応してきた。材質などのパラメータでブレーキの鳴きという品質特性(弊害項目)を改善するのが今までの研究のやり方であるが、品質工学では、ブレーキの基本機能(Generic Function)である「踏み力と制動力の比例関係」で機能性(Functionality)の評価を行い、パッドの温度依存性に強いブレーキシステムを開発することによって、ブレーキの鳴きの少ないシステムのロバスト設計を行うことである。最後に、パラメータの最適条件でブレーキの鳴きがないことを確認すればよいのである。

 基本機能を考えるのは当たり前のことであるが、技術者は問題を調べたがるのである。技術を基本に立ち戻って考えることが大切なことである。



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