広域を対象とした2008年四川地震の地震動伝播シミュレーション第13回日本地震工学シンポジウム
概要
2008年四川地震の際には、震源域から1,500km 以上離れている北京、上海、台北などの平野部において、高層ビル内で周期が数秒~十数秒を超える長周期地震動が観測、体感された。このことは、近傍に断層やプレート境界が位置していない大都市においても、遠方から到来する長周期地震動が高層建物の耐震安全性や居住者心理に影響を及ぼすことを示している。そこで、本研究では2008 年四川地震の広域を対象とした地震動伝播シミュレーションを行い、中国を中心とする東アジアの主要都市における長周期地震動の再現を試みた。
CRUST2.0及びPREMに基づいて地下構造モデルを構築し、震源モデルとしてUSGS及びUC Santa Barbaraによって公開されているFinite Fault Modelを使用した。地震動伝播シミュレーションはボクセル型有限要素法を用いた並列計算によって行った。解析の結果、北京をはじめとする震源域から1,500km以上離れた観測点において観測波形と概ね整合する計算波形が得られた。また、北京、上海、台北などの平野部の主要都市において主に表面波と考えられる長周期地震動が卓越することが示された。このことは、日本において将来発生が予測されている東南海・南海地震などの際の長周期地震動による高層建物の耐震安全性を議論する上でも有益な示唆を与えるものと考えられる。
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第13回日本地震工学シンポジウム 広域を対象とした2008年四川地震の地震動伝播シミュレーション |
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