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事例紹介防災

岩盤崩落シミュレーション

北海道太島内岩盤崩落解析例
お客様 ; (株)構研エンジニアリング

概要

 

平成5年8月30日早朝、北海道厚田郡厚田村太島内で海岸に沿う国道231号の山側斜面の岩塊が突然崩落し、現道は60mに渡る岩塊の散乱により通行止めとなった。崩落規模は最大で幅約20m、高さ30m、奥行き15mに渡り、崩落岩量は焼く2000m3と推定される。崩落箇所が位置する斜面の規模は、崖高100m以上におよび、平均70度以上の急立した尾根状地形である。
本解析例は、崩落発生機構を推定する目的で、現地調査結果をもとに個別要素法(DEM)による崩壊シミュレーションを行った。


現地調査より
地形 崩落岩盤は、周囲に対して突出した状況を示す。
地質 崩落箇所は亀裂質で空隙の多い凝灰角レキ岩であり、崩落岩塊は安山岩が大部分を占め、周囲に対して相対的に硬質で亀裂の少ない岩塊。
崩落面 標高約90~100mにある垂直方向の崩落面は多くが土砂化している。
崩落面箇所の層理面は、崩落直後の空中写真では鏡肌のような黄褐色の光沢と崩落方向を示す条線のようなものが認められた。
崩落面に位置する凝灰質砂岩薄層付近では、亀裂の発展が著しく、亀裂面は茶褐色に酸化している。

個別要素法(DEM)によるシミュレーション

 

崩落岩盤の奥行きが最大となる重心付近を選定し解析対象断面とした。用いた解析コードは、「2次元個別要素法解析システムUDEC」。モデル化は、層理面を流れ盤方向に傾斜45度の不連続面とした。さらに層理面を含むこれらに平行な不連続面群とその不連続面に直行する不連続面群による単純な不連続面系とした。
現地調査より崩落要因が崩落面となった亀裂面の複合的要因によるせん断強度低下と考えられることから、解析では不連続面の弱化をせん断強度の低下で表現した。検討ケースは、想定した風化帯の考慮し、各ケース崩落面部分に強度低下箇所を想定し、崩落過程をシミュレートした。



シミュレーション結果

シミュレーション結果より崩落発生機構を推定すると、崩落面は全体に渡り強度が低下していたものの、最終的には崩落岩塊下部に位置する凝灰質砂岩薄層付近が強度低下を起こし、これが引き金となって崩落が発生した可能性が考えられる。

  土木学会第49回年次学術講演会(平成6年9月)にて発表


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