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建設系エンジニアのための地下構造物三次元FEM事始め伊藤忠テクノソリューションズ(株) 野口 利雄

地下構造物三次元FEM設計断面直角方向載荷領域の影響

はじめに

ボックスカルバートのような線状地下構造物に対して、図1のように構造物の奥行き方向に部分的な荷重が作用する場合、その影響範囲はどうなるのでしょうか?2次元解析では、載荷部分とその近傍の断面力が正確に評価できないことが考えられます。ここでは、単純なモデルで、2次元解析と3次元解析を比較して、その荷重の影響範囲等を検討してみることとします。

図1 ボックスカルバートと荷重影響範囲 図1 ボックスカルバートと荷重影響範囲

解析モデルと解析条件

単純な2次元モデル例として図2のような解析対象を取り上げます。

 図2 2次元解析モデルと解析条件

比較検討するモデルとして、図2の2次元モデルを面外方向に押出し作成した3次元モデルを用い、載荷範囲を段階的(ステップ1~25)に変えながら比較検討します。構造物に全体に荷重が作用するステップ25の値が2次元解析と一致するはずです。

図3 3次元解析モデルと解析条件

解析結果

2次元解析結果と3次元解析結果を示します。3次元解析結果は、2次元解析結果に対応する断面方向のものです。

 図4 2次元モデル解析結果(曲げモーメント、せん断力、軸力)

 図5-1 3次元モデル解析結果
(ステップ11の曲げモーメント図)
 図5-2 3次元モデル解析結果
(ステップ25の曲げモーメント図)

荷重載荷範囲を変更した各ステップごとの曲げモーメントを示します。

 図6 3次元解析での曲げモーメントの荷重載荷範囲ステップごとの変化
(値は構造物上面中央位置)

考察

解析の結果以下のようなことがわかります。

 
  1. 構造物上部に鉛直荷重が作用する場合、発生断面力が2次元断面計算と等値になる軸方向の載荷長さは構造物幅の約4倍である。
  2. 軸方向に断面力が変化する区間は構造物幅の約3倍である。この区間の評価は、構造物の重要度や、規模などを加味して行う必要があると考えられる。
  3. この値は今回の検討に限ったもので、汎用性の確認は未実施であるが、このような荷重状態の場合は3次元的検討の必要性が高い。

この内容は、以下の発表論文を基に構成されたものです。
この発表論文は、このウェブサイトの【技術レポート】ページで閲覧できます。合わせてご覧ください。
土木学会第58回年次学術講演会 Ⅵ-172
【構造物に作用する荷重の三次元効果に関する考察】

野口 利雄・泉 和伸 
(株)CRCソリューションズ 科学システム事業部


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