Thermo-Calc 4.1 新機能のご紹介
コンソールモード
- コンソールタブ上で右クリックしたときに表示されるポップアップメニューの項目が追加されました。
- プロットタブを開閉するショートカット(Ctrl+Shift+T、Ctrl+Shift+WかF4)が追加されました。
- 対数目盛りのデザインが変更されました。
- プロットウィンドウの背景色が白、すべての文字と線の色が黒に変更されました。
- 図を保存する際のデフォルトファイルフォーマットがPNGになりました。
グラフィカルモード
- 新しい計算の種類「プロパティグリッド」が追加されました。プロパティグリッドは2つの独立変数で定義された平面上の面としての特性を描画できます。描画方法はヒートマップと等高線の2通りがあります。
- 新たなプロット変数「u-fraction」が追加されました。
- シャイル計算の結果表示の際、通常の平衡計算の結果も同時に表示されるようになりました。
- プロットレンダラーの設定ウィンドウの内容を変更した際、自動的にグラフが更新されなくなりました。
- プロットレンダラーより前のツリーの設定を変更した際、プロットレンダラーアクティビティが自動的に再設定されるようになりました。
- 計算が速くなりました。
DICTRAモジュール
- プロットした各グラフに固有の番号と色が設定されるようになりました。番号はグラフ上にカーソルを置くことでツールチップに表示されます。凡例を表示させるにはPOST:LABEL_CURVES Yコマンドを入力します。
TC-PRISMA
- 変更はありません。
詳細につきましては、お客様の広場のダウンロードページ内のリリースノートをご覧ください。
新しい熱力学データベースのご紹介
新リリース
- MOBSI1
MOBSI1は固相、液相Si中の自身と不純物の拡散率が含まれます。- データベースには以下の28の元素が含まれます。
Ag, Al, As, Au, B, Bi, C, Co, Cr, Cu, Fe, Ga, Ge, In, Li, Mn, N, Ni, O, P, S, Sb, Si, Sn, Te, Ti, V, Zn. - 熱力学TCSI1データベースとともに使用することで、太陽電池級シリコンを製造するための拡散現象をシミュレートすることができます。
- データベースには以下の28の元素が含まれます。
バージョンアップデート
- TCNI7 (ver. 7.1)
- 酸素を含まない液相はデフォルトで通常の置換型固溶体のモデルでモデル化されています。これにより酸素を考慮する必要のない合金の計算を向上させます。酸素を含む場合はイオン溶体モデルでモデル化されます。
- C-Cr-Ni-MoとC-Cr-Ni-W系のM6C炭化物の記述が改善されました。以前はいくつかの市販合金の一次炭化物として、M6Cの代わりにM23C6が予測されていました。この改善によりこのような事態はもう生じません。
- Cr-Ni-B系の記述が改善されました。以前はNI3B_D011相があまりにも安定であったため、液相との間違った平衡を招いていました。
- YかMn、あるいは両方を含む三、四元系において、FCC_L12相を記述するパラメータのために制約関係が加えられました。これにより計算の安定性が増しました。
- Feを含む系の体積データの誤りが修正されました。
- MOBNI3 (ver. 3.1)
- Mnのモビリティが追加されています。これによりTCNI7と完全に整合性が取れています。
- 液相のモビリティデータはTCNI7の新しい熱力学的記述に適応しています。
- TCSI1 (ver. 1.1)
- 固相Si中のTeの溶解度の記述が追加されました。
データベースの詳細は、Thermo-CalcとDICTRAの各ページでご覧いただけます。
腐食関連の計算例
Thermo-Calcは、腐食関係の計算にも適用が可能です。
Marcel Pourbaixは熱力学を金属の耐腐食性を計算するために導入し、水溶液のpHとEhを変化させた時の金属と希薄水溶液の相互作用を計算し、金属の安定領域や酸化物や水酸化物の安定領域をpHとEhを軸にグラフ化しました。これがPourbaix図と呼ばれるものです。
次の図は、200℃、100気圧において0.001モルのオーステナイト鋼(Fe-19Cr-7Ni)を1 kgの水に3 mのNaClを入れた場合のPuorbiax図です。
Immunityの領域は、金属が安定で水溶液に溶けない状態を示します。Corrosionの領域は金属が溶けてしまう状態、Passivationは、酸化物被膜等が出来、金属が溶けることを防いでくれる状態を表します。

Thermo-Calcでは、水溶液の熱力学データを含むデータベースとして、TCAQ2とAQS2の2種類を用意しています。これに、TCFE7, SSOL5, SSUB5等から持ってきた金属相のデータを組み合わせることで、水溶液と金属の相互作用を計算することが可能です。
析出成長予測ソフトウェアTC-PRISMA計算事例の紹介
TC-PRISMA ver 2.01は古典的な核生成理論と、Thermo-Calc社独自の粒成長理論を用いて、析出物の成長を計算します。同一母相からの競合析出、TTT線図などの計算が可能です。
TC-PRISMAでできること
- 核生成・成長、粗大化
- 粒のサイズ分布、平均粒径の時間変化、
- 析出相の体積分率
- TTT線図
- 核生成速度、成長速度
- 界面エネルギーの推定 など
次に具体的な計算結果の紹介です。下記に示す図はNi基超合金インコネル700番台の計算結果になります。 Ni基超合金ではNi相からγ’(ガンマプライム)相と呼ばれるNi3Al金属間化合物が析出し、このγ’相を分散析出させることで高温で強度を保つことが可能になっていることが知られています。今回は1467Kから冷却速度-10℃/sおよび-100 ℃/sにて20sおよび2s計算を行いました。以下、各冷却速度におけるγ'の粒径の時間変化、γ'の数密度の時間変化およびサイズ分布(1267K, 20s or 2s)を示します。冷却速度が大きくなるほど微細組織となることが短時間で評価可能です。



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