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事例紹介:応用事例Thermo-Calc:統合型熱力学計算システム

応用事例

凝固・鋳造

Alloy718における固相線温度の分布

ニッケル基合金Alloy718について、合金の仕様範囲内の組成で固相線温度を計算した事例です。合金の溶融温度は特定の元素によって大きく変化することがありますが、金属ハンドブックや材料データシートでは通常、液相線と固相線の温度の公称値のみが記載されています。グラフはAlloy718の仕様範囲内にある1000の組成に対して計算した固相線温度のヒストグラムを示しています。グラフからわかるように、規格範囲内の組成でも非常に広範囲の変態温度が存在する可能性があることがわかります。

Thermo-Calc:Alloy718における固相線温度の分布

Alloy718における固相線温度の分布

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アルミニウム合金における凝固シミュレーション

アルミニウム合金A206(Al-4.58Cu-0.28Mg-0.51Fe-0.07Si-0.003Mn wt%)の凝固過程を計算した事例です。Thermo-CalcのScheilモジュールでは凝固シミュレーションを実施することができます。凝固過程において、準安定なAlmFe相はAl固溶体(FCC)相の次に形成されることや、組織形成過程(出現する順序)や相変態温度を評価することが可能です。なお、Al6MnとAl13Fe4は計算に考慮しておりません。

Thermo-Calc:A206合金におけるSchei凝固計算(点線は平衡凝固)

A206合金におけるSchei凝固計算(点線は平衡凝固)
計算にはTCAL8データベースを使用

H.-L. Chen, “Thermodynamic modeling of metastable precipitate phases in Al-Cu, Al-Fe, Al-Mg-Si, and Al-Mg-Zn based alloys” (Stockholm, Sweden, 2014), unpublished work.

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冷却速度を考慮したアルミニウム合金における凝固シミュレーション

アルミニウム合金AA7075(Al-1.6Cu-2.5Mg-0.25Fe-0.2Si-0.15Mn-5.6Zn wt%)の逆拡散・冷却速度を考慮したScheil計算によって凝固過程を予測した事例です。図中の赤線は冷却速度を100 K/sとした結果、緑線は冷却速度を0.7 K/sとした結果です。

Thermo-Calc:アルミニウム合金 AA7075合金のScheil凝固計算

AA7075合金のScheil凝固計算

計算にはTCAL7とMOBAL6データベースを使用

Backerud, Lennart, Guocai Chai, and Jarmo Tamminen. "Solidification characteristics of aluminum alloys. Vol. 2. Foundry alloys." American Foundrymen's Society, Inc., 1990, (1990): 266.

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アルミニウム合金における凝固割れ感受性の評価

アルミニウム合金AA7075を対象に、Scheil凝固計算を用いて末端凝固温度幅(TFR)※1 を評価することで凝固割れ感受性を予測した事例です。本合金は、比較的大きなTFRを有しており、固相率fs=0.90では44℃、固相率fs=0.98では51℃と比較的大きな値と評価できます。この結果から、本合金系は凝固割れ感受性が高いと評価することができます。

Thermo-Calc:AA7075合金におけるScheil凝固計算

AA7075合金におけるScheil凝固計算
計算にはTCAL7データベースを使用

※固相分率fsが、0.9と0.98における平衡計算と凝固計算の温度間隔で定義

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Al-Si合金における凝固割れ感受性係数の評価

クラック感受性係数(Crack Susceptibility Coefficient:CSC)を計算した事例です。Si量が0.8wt%~0.9wt%付近の場合、CSCが大きく凝固割れが起こりやすく、微小量または多く添加するとCSCが小さく凝固割れが生じにくいことが予測されます。

Thermo-Calc:Al-Si合金におけるクラック感受性係数のSi量依存性

Al-Si合金におけるクラック感受性係数のSi量依存性
計算にはALDEMOデータベースを使用

Yan, Xinyan, and Jen C. Lin. "Prediction of hot tearing tendency for multicomponent aluminum alloys." Metallurgical and Materials Transactions B 37.6 (2006): 913-918.

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アルミニウム合金におけるAl2Cuの偏析

Scheil凝固計算により、凝固過程で生じる偏析を評価した事例です。Al-Cu系で、Cu添加量をそれぞれ2、4、8(wt%)と変更して、凝固計算を実施しています。図の計算結果では、縦軸にFCC相中のCu量を示します。いずれの組成においても、凝固に伴いAl粒(FCC相)内のCu含有量がわずかに上昇することを表しています。また、Al粒内(凝固前半)のCu含有量が少ないこと、Cu添加量が多いと粒内のCu含有量が増加すること、凝固完了付近のCu含有量は変化せずAl粒が成長しなくなったことが確認できます。したがって、Al2CuがAl粒の周りで偏析することと、Cu添加量が多いと粒周りのAl2Cuの厚みも増えることがわかります。

Thermo-Calc:固相分率-FCC相中のCu濃度

固相分率-FCC相中のCu濃度
計算にはTCAL8のデータベースを使用

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