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合金別適用事例
チタン合金
Ti3Al-Nb擬二元系状態図
軽量耐熱構造材料のTiAl系金属間化合物の一つであるTi3Alに、Nbを添加することで、延性相のβ相が安定化され、機械的性質が向上することが認められています。Ti3Al(α2)は、耐熱材料のNi基超合金に比べ、密度が小さく、優れた高温強度や靭性を有することから、軽量耐熱材料として注目されています。Ti3Al-Nb擬二元系状態図に示すように、添加元素のNbが組織に及ぼす影響を予測することができます。
Ti3Al-Nb擬二元系状態図
R. Strychor, J. C. Williams, W. A. Soffa, Phase transformations and modulated microstructures in Ti-Al-Nb alloys, Metall. Trans. A, 19(1988), 225-234
Ti-43.3Al-4.3Nb-1.2Mo-0.1B(at%)の温度 - 相分率図
チタン合金における一軸図を計算した事例です。各温度域において、単相なのか、α/β二相なのかなどの温度範囲や、化合物相の生成、平衡組成を予測することが出来ます。
点線で示したように、γ相のソルバス温度や、α-γ共析温度などを見ることも可能です。
Ti-43.3Al-4.3Nb-1.2Mo-0.1B(at%)の温度 - 相分率図
計算にはTCTI3データベースを使用
P. Erdely et al., In-situ study of the time-temperature-transformation behavior of a multi-phase intermetallic β-stabilized TiAl alloy, Intermetallics 57 (2015) 17-24.
αおよびβ相の体積分率評価
ニアα合金のTi6-2-4-2と、ニアβ合金のTi10-2-3において、各温度域におけるα相とβ相の体積分率を計算した事例です。チタン合金の用途に応じて、加工性・強度を付与するために、α/β量比を制御するような材料設計(βトランザス)や変態温度に影響を及ぼすα/β安定化元素の評価が可能です。
ニアα合金におけるβ相の体積分率
ニアβ合金におけるα相の体積分率
S. L. Semiatin et al., Alpha/Beta heat treatment of a titanium alloy with a nonuniform microstructure, Metall. Mater. Trans. A, 38 (2007) 910-921
T. W. Duerig et al., Phase transformations and tensile properties of Ti-10V-2Fe-3Al, Metall. Trans. A, 11 (1980) 1987-1998
Ti-6Al-4V体積変化
α-β合金のTi64において、体積変化を計算した事例です。系にαとβ相のみが存在すると仮定し、室温における平衡計算で得られた系全体のモル体積を用いて、各温度ごとのモル体積の変化を関数で定義することで計算しています。
Ti-6Al-4V wt%の各温度ごとの体積変化
計算にはTCTI3データベースを使用
Ti-6Al-4V拡散計算
Ti64において、冷却速度に応じたα相分率の変化を評価した事例です。1000℃のβ過飽和固溶体の状態から、600℃まで各冷却速度で冷却し、冷却後に残るα相分率を評価しています。赤い線は平衡計算で得られた結果です。青線は冷却速度が1℃/sで、水色、茶色、緑色になるにつれ、冷却速度が速くなっており、冷却速度が速いほど最終的に残存するα相分率は減少することがわかります。
Ti-6Al-4V wt%における各冷却速度ごとのα相分率の変化
計算にはTCTI3、MOBTI4データベースを使用
Martukanitz et al., Toward an integrated computational system for describing the additive manufacturing process for metallic materials, Addit. Manuf., vol. 1–4, pp. 52–63, 2014
Ti合金における熱伝導率および電気抵抗率
Ti合金における熱伝導率と電気抵抗率を計算した事例です。Ti基合金向け熱力学データベースTCTI4には熱特性、電気特性のデータが含まれており多元系の特性を予測することができます。グラフは様々なチタン合金の熱伝導率(左図)および電気抵抗率(右図)の測定値と計算値を比較しています。計算の際には各合金の一般的な熱処理温度における平衡組成を仮定しています。実際には様々なプロセス条件によって組成も変化するため、ばらつきが生じることが予想されます。図中の黒い実線は、計算値が実験値と等しい直線を示しており、青い破線は偏差が10%、赤い破線は偏差が20%となる値を示しています。
Ti合金における熱伝導率
Ti合金における電気抵抗率
Welsch, Gerhard, Rodney Boyer, and E. W. Collings, eds. Materials properties handbook: titanium alloys. ASM international, 1993.