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事例紹介:合金別事例Thermo-Calc:統合型熱力学計算システム

各計算事例の計算ファイルはお客様広場からダウンロードできます。

合金別適用事例

はんだ

Sn-Ag-Cu-In合金における凝固挙動の評価

Sn-Ag-Cu-In合金における平衡凝固と非平衡のScheil凝固を計算した事例です。はんだの凝固挙動は、界面反応にも影響されますが、はんだそのものの凝固過程を予測することも重要です。Thermo-Calcでは、凝固過程における相の形成順序、相分率、相変態温度などを予測することが可能です。以下にSn-Ag-Cu-In合金における平衡凝固(点線)とScheil凝固(実線)を計算した結果を示します。工業的には、平衡凝固よりも非平衡凝固が実態に近いことが多いのですが、非平衡なScheil凝固計算結果(晶出相と相変態温度)は実験データとよく一致します。なお、計算ではCu2In3Sn相が晶出しますが(拡大図)、実験的に測定が困難なほど、微量と考えられます。

Sn-Ag-Cu-In合金におけるScheil凝固計算

Sn-Ag-Cu-In合金におけるScheil凝固計算
計算にはTCSLD4データベースを使用

Lee, J. H., C. W. Lee, and J. H. Kim. "Quaternary Pb-free Solder Composition Incorporating Sn-Ag-Cu-In" (2008).
Sopoušek, Jir̆í, et al. "Thermal analysis of the Sn-Ag-Cu-In solder alloy." Journal of electronic materials 39.3 (2010): 312-317.

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はんだと基板の界面における反応物の予測

はんだ付け時に、はんだ/基板界面で最初に形成される金属間化合物を予測した事例です。
電子部品の接合部の信頼性は、はんだと基板材料間で起こる界面反応に強く依存し、特に界面で初期に形成される金属間化合物は、はんだ接合部の機械特性に影響を与えます。
本事例では、各金属間化合物生成の駆動力を計算し、比較することで、最初に生成しうる化合物を予測します。この手法はLeeらが提案したもので、はんだの液相に対し、析出の駆動力が高い化合物相が最初に生成しうるというものです。
本手法により、最初に形成された界面反応生成物の予測結果と、JaoらやJeeらによる実験結果とを比較すると、概ね一致します(Sn-3Zn(wt%)についてはAg5Zn8とAgZnの駆動力はほとんど同じという結果のため、乖離があると考えられます)。このように熱力学計算は、化合物生成ならびに、界面反応の予測に活用可能です。

Sn-xZn/Ag(x=1,2,3,5,9,14wt%)における260℃での相形成の駆動力

Sn-xZn/Ag(x=1,2,3,5,9,14wt%)における260℃での相形成の駆動力
計算にはTCSLD4データベースを使用

Lee, Byeong-Joo, Nong Moon Hwang, and Hyuck Mo Lee. "Prediction of interface reaction products between Cu and various solder alloys by thermodynamic calculation." Acta Materialia 45.5 (1997): 1867-1874.
Jao, Chien-Chung, et al. "Phase equilibria of the Sn–Zn–Ag system and interfacial reactions in Sn–Zn/Ag couples." Intermetallics 16.3 (2008): 463-469.
Jee, Y. K., and Jin Yu. "Interfacial Reactions and Joint Strengths of Sn-x Zn Solders with Immersion Ag UBM." Journal of electronic materials 39.10 (2010): 2286-2291.

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Sn-Zn-Al合金における合金元素による融点の変化

はんだ設計において、溶融温度と溶融範囲について評価した事例です。
Sn-Zn-Al合金の溶融温度に対し、Zn添加量(Al添加量は固定)の影響を予測します。Zn添加により、ある量までは融点が低下することや、合金中のAl添加量が多いほど融点が高くなることがわかります。

Al含有量を固定したSn-Zn-Al合金の溶融温度に対するZn添加の影響

Al含有量を固定したSn-Zn-Al合金の溶融温度に対するZn添加の影響
計算にはTCSLD4データベースを使用

Smetana, Bedřich, et al. "Phase transition temperatures of Sn–Zn–Al system and their comparison with calculated phase diagrams." Journal of thermal analysis and calorimetry 110.1 (2012): 369-378.

以下は、種々の商用はんだ合金の液相線温度と固相線温度の実験データと、Thermo-Calcで導出した各温度の計算結果の比較を示します。

商用はんだ合金における液相線温度と固相線温度の計算値と実験値の比較

商用はんだ合金における液相線温度と固相線温度の計算値と実験値の比較
計算にはTCSLD4データベースを使用

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鉛フリーはんだにおける液相面投影図

Sn-Ag-CuやSn-Ag-Biなどの鉛フリーはんだについて、Sn-rich領域での液相面投影図を計算した事例です。
Sn-Ag-Cu(SAC)合金は、最も一般的に使用されている鉛フリーはんだで、電子機器用途では、含鉛はんだに代わる主要なはんだ合金です。グラフの緑色の曲線は計算された液相温度の等高線図です。各商用合金の液相温度をプロットで示し、その横に融点の報告値を記載します。Eは共晶反応

L <-> Ag3Sn + (Sn) + Cu6Sn5_HT

の共晶点です。

Sn-Ag-Cuにおける液相面投影図

Sn-Ag-Cuにおける液相面投影図
計算にはTCSLD4データベースを使用

グラフは、対象のSAC合金の液相密度について評価した事例です。プロットの実験データと比較します。

Sn-Ag-Cuにおける液相密度の温度依存性

Sn-Ag-Cuにおける液相密度の温度依存性
計算にはTCSLD4データベースを使用

グラフは、Sn-Ag-Bi合金における液相面投影図を計算した事例です。共晶点Eについて、実験データ(138.4℃)と計算結果(137.5℃)はよく一致します。

Sn-Ag-Biにおける液相面投影図

Sn-Ag-Biにおける液相面投影図
計算にはTCSLD4データベースを使用

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CuSnBiInPb合金における表面張力

CuSnBiInPb系の高エントロピー合金について、液相の表面張力を評価した事例です。
はんだの表面張力は濡れ性と密接な関係があり、はんだによる部品の良好な濡れ性は接合の品質を保証するために重要な特性です。計算結果はV’yukhinらによる実験値(プロット)とよく一致します。

CuSnBiInPb合金における液相の表面張力の温度依存性

CuSnBiInPb合金における液相の表面張力の温度依存性
計算にはTCSLD4データベースを使用

V’yukhin, V. V., O. A. Chikova, and V. S. Tsepelev. "Surface tension of liquid high-entropy equiatomic alloys of a Cu–Sn–Bi–In–Pb system." Russian Journal of Physical Chemistry A 91.4 (2017): 613-616.

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SAC系はんだにおける粘度

SAC系はんだについて、液相における粘性を評価した事例です。
粘性は、はんだ付けプロセスの有限要素法(FEM)シミュレーション等で重要な材料特性です。一般的に、材料ハンドブック等に記載されている熱力学量や特性データは、新規材料はもちろん、合金組成の変動による変化は考慮されていません。以下は、SAC系はんだに、3.07wt%Biを添加した合金について、絶対粘度を計算した結果と、Gancarzらによる実験値を比較した結果です。

SAC系はんだにおける液相の絶対粘度の温度依存性

SAC系はんだにおける液相の絶対粘度の温度依存性
計算にはTCSLD4データベースを使用

Gancarz, Tomasz, et al. "Physicochemical properties of Sn-Zn and SAC+ Bi alloys." Journal of electronic materials 42.2 (2013): 288-293.

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Cu-Sn拡散対の拡散シミュレーション

CuとSnの反応拡散現象を計算した事例です。拡散モジュールDICTRAを使用して、CuとSn, Cu6Sn5, Cu3Snを考慮して200℃-1200hの熱処理後の銅のモル分率や各相分率を計算しています。

銅のモル分率

銅のモル分率

各相分率

各相分率
計算にはTCSLD4, MOBSLD1データベースを使用

吉田浩一, めっき構造内における物質移動の計算機シミュレーション, 古河電工時報第119号(平成19年1月) 21
竹中俊夫,梶原正憲,黒川典治,坂本克彦:合金状態図第172委員会第7回研究会資料. 63

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