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事例紹介:合金別事例Thermo-Calc:統合型熱力学計算システム

各計算事例の計算ファイルはお客様広場からダウンロードできます。

合金別適用事例

ニッケル合金

Ni-Al二元状態図

Al添加量を増加させた場合に、Ni固溶体(FCC、γ)へのAl固溶量のほか、規則相(γ' -Ni3Al、β-NiAl…など)、金属間化合物相の生成が予測されます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-Alの状態図

Ni-Alの状態図

計算にはTCNI10データベースを使用

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Ni-Al-X (X=Cr, Co) 三元状態図

第3元素の添加によるβ相の安定性を評価した事例です。β相は高融点を有し、耐熱・耐酸化材料(Ni基超合金のコーティング材)や、機能性材料として注目されています。
Cr添加(上図)によりβ相存在領域が狭まり不安定化する一方で、Co添加(下図)により広い範囲でβ相が安定に存在することが予測されます。このように元素の添加による相安定性への影響を評価できます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 1273 KにおけるNi-Al-Crの三元状態図(等温断面図)

1273 KにおけるNi-Al-Crの三元状態図(等温断面図)

計算にはTCNI10データベースを使用

Thermo-Calc:ニッケル合金 1273 KにおけるNi-Al-Coの三元状態図(等温断面図)

1273 KにおけるNi-Al-Coの三元状態図(等温断面図)

計算にはTCNI10データベースを使用

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Ni-24Al-15Cr-19Coの温度 - 相分率図

平衡状態において、生成される各相の生成温度域を評価した事例です。温度ごとの平衡相分率を計算することで、平衡状態において出現する平衡相を予測することが可能であり、金属間化合物相(有害相)生成の予測などにも役立てることができます。本事例では、生成温度域としてβ相は1420℃、γ相は1360℃と評価できます。低温側で若干みられているようなσ相のような金属間化合物相、TCP相、有害相の生成の予測も可能です。

Thermo-Calc:ニッケル合金 1273 Ni-24Al-15Cr-19Coにおける温度 - 平衡相分率

Ni-24Al-15Cr-19Coにおける温度 - 平衡相分率

計算にはTCNI10データベースを使用

さらに合金系の構成相以外にも各相中の構成元素の出力も可能です。γ相(上図)およびβ相(下図)中に存在する元素を出力した結果を示します(点は文献値)。このように各温度域で特定の元素が固溶しているか、掃き出されているかを評価できます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-24Al-15Cr-19Coにおける温度 - γ相中の構成元素

Ni-24Al-15Cr-19Coにおける温度 - γ相中の構成元素

計算にはTCNI10データベースを使用

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-24Al-15Cr-19Coにおける温度 - β相中の構成元素

Ni-24Al-15Cr-19Coにおける温度 - β相中の構成元素

計算にはTCNI10データベースを使用

T. Ghen, et al., "Experimental study and thermodynamic modeling of the Al–Co–Cr–Ni system", Sci. Technol. Adv. Mater., 16 (2015)

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Ni-Cr-Co-Mo-Al-Ti-Hf合金の温度 - 相分率図

Ni-11.5Cr-15.5Co-6.5Mo-4.3Al-4.3Ti-0.5Hf(wt%)合金の温度対相分率図を示します。Gamma相は、面心立方格子内にNi、Co、Al、W等の原子が無秩序に配置されて出来る構造であり、Gamma_prime相は、面心立方格子のコーナーにAl、Ti、Nb、Ta等が、面心にNi、Co、Fe、Mo等が規則正しく配置されて出来る構造です。

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-11.5Cr-15.5Co-6.5Mo-4.3Al-4.3Ti-0.5Hf(wt%)における温度 - 平衡相分率

Ni-11.5Cr-15.5Co-6.5Mo-4.3Al-4.3Ti-0.5Hf(wt%)における温度 - 平衡相分率

計算にはTCNI10データベースを使用

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718Plusの温度 - 相分率図

718Plus(Ni-18Cr-10Fe-9Co-2.8Mo-1.5Al-0.7Ti-5.3Nb-0.02C-0.005B wt%)の各温度域における平衡相や準安定相の予測を行った事例です。各温度域における平衡相の評価や、δ相(D0A構造)のソルバス温度の予測できます。冷却過程で、冷却速度が小さく、平衡状態に近い場合にはδ相が生じうることが示唆されます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 718Plusの温度 - 平衡相分率

718Plusの温度 - 平衡相分率

計算にはTCNI10データベースを使用

さらに準安定状態において、析出強化に寄与するγ'' 相や、γ' 相のソルバス温度を予測できます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 718plusの温度 - 平衡相分率

718plusの温度 - 平衡相分率

計算にはTCNI10データベースを使用

※安定なδ相を考慮しない条件を設定し、計算を行うことで準安定相の評価を行うことができます。

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液相密度の評価

Inconel713やCMSX4に近いNi-13.35Cr-6.65Al-XMoにおける液相密度の評価を行った事例です。液相密度は凝固プロセスにおいて、液相状態や凝固収縮などを解析する際に重要な熱物性値です。Mo添加量を変化させ、各温度域における液相密度を評価した結果を示します。Mo添加量増加とともに液相密度が増加することを予測できます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-13.35Cr-6.65Al-XMoにおける液相密度の評価(Ni:Cr:Al比は固定)

Ni-13.35Cr-6.65Al-XMoにおける液相密度の評価(Ni:Cr:Al比は固定)

計算にはTCNI10データベースを使用

L. Fang, et al., Density of liquid NiCrAlMo quarternary alloys measured by a modified sessile drop method, Mater. Sci. Eng. B., 132(2006)164–169

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γ/γ' 格子ミスフィットの評価

γ/γ' の格子ミスフィットを評価した事例です。格子ミスフィットは、Ni基超合金の材料設計において重要なパラメータです。格子ミスフィットを小さく設計することで、組織安定化に寄与します。各温度域における格子サイズを評価しており、γ相とγ' 相の格子サイズを計算しております。このように、格子サイズ・格子ミスフィットを評価できます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 γおよびγ' 相の格子サイズ(Ni-0.6Mo-0.92Ta-12.5Al-1.83Ti-10.5Cr-3.3W合金)

γおよびγ' 相の格子サイズ
(Ni-0.6Mo-0.92Ta-12.5Al-1.83Ti-10.5Cr-3.3W合金)

計算にはTCNI10を使用

※計算設定として、各相の溶質濃度は1000℃における平衡組成を仮定しています。

M. V Nathal, et al., Temperature dependence of γ-γ' lattice mismatch in Nickel-base superalloys, Mater. Sci. Eng., 75(1985)195–205

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GTD111合金とコーティング間の元素拡散

GTD111合金を対象に、母相(γ、γ' )と、コーティング相のβ相(NiAl B2相)とσ相を系に考慮して、熱処理過程における母相とコーティング相間の元素拡散を評価した事例です。初期条件として、左図のように母相(500μm)/コーティング相(500μm)の濃度分布を指定し、熱処理条件として、1050℃、96時間を設定しています。

Thermo-Calc:ニッケル合金 GTD111合金における初期濃度分布と初期相分布

GTD111合金における初期濃度分布と初期相分布

熱処理後の各元素の濃度分布は実験値(点)を精度良く再現できていることがわかります。このように母相/コーティング間における元素拡散や相変態の評価が可能です。

Thermo-Calc:ニッケル合金 熱処理後(1050℃、96時間)の組成分布(Al、Ti、Cr)と実験結果との比較、熱処理後の相分布
Thermo-Calc:ニッケル合金 熱処理後(1050℃、96時間)の組成分布(Al、Ti、Cr)と実験結果との比較、熱処理後の相分布

熱処理後(1050℃、96時間)の組成分布(Al、Ti、Cr)と実験結果との比較、
熱処理後の相分布

計算にはTCNI10、MOBNI5データベースを使用

E. Perez, et al., Interdiffusion analysis for NiAl versus superalloys diffusion couples, J. Phase Equilibria Diffus., 27(2006)659–664

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Ni/Ni-11P/Ni接合部のろう付け時の等温凝固

純ニッケル間をろう材(Ni-11P)でろう付けする際の等温凝固挙動を解析した事例です。1200℃-2.75時間の等温凝固時に、ろう材幅が異なる母相粒径によってどのように変化するかを拡散モジュールのDICTRAを使用して計算します。各母相粒径に対する共晶幅の変化を比較したところ、粒径が微細で、粒界が多いほど、ろう材領域の収縮が早いことが示されました。Kokawaらによる実験結果(プロット)とも比較しており、どちらの条件においても精度よく予測されました。

* 参考文献:Kokawa et al., Met Trans A 22 (1991), 1627-1631

Thermo-Calc:DICTRAで考慮した計算初期設定イメージと、ろう付け部分の断面図

DICTRAで考慮した計算初期設定イメージと、ろう付け部分の断面図

Thermo-Calc:各Ni母相の結晶粒径に対するろう材幅の時間変化

各Ni母相の結晶粒径に対するろう材幅の時間変化

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718合金 γ' 相とγ'' 相の等温析出計算

析出モジュールTC-PRISMAを使用して析出強化に寄与するγ' 相(L12)とγ'' 相(D022)の両方が析出・粗大化する過程を計算した事例です。718合金(Ni-18.37Cr-10.86Fe-2.91Mo-1.0Al-0.45Ti-6.0Nb wt%)はガスタービンなどの高温用途に最適な材料で、高温強度と良好な加工特性を持つ時効硬化型の合金です。計算設定として、各相の析出形状や変態ひずみを計算に考慮しています。γ' 相についてはcubicで、γ' 相についてはplate形状で、変態ひずみはユーザデータを入力しています。時効処理条件として、温度は1023Kの等温としています。

Thermo-Calc:ニッケル合金 718合金における各相の体積分率の時間変化

718合金における各相の体積分率の時間変化

計算にはTCNI10、MOBNI5データベースを使用

各析出物の粒径も出力できます。左の図ではcubic形状のγ' 相の平均半径の時間変化、plate形状のγ'' 相の長径の時間変化を示しています。それぞれ、温度条件を変更し、析出物の粗大化にどのような影響がみられるかを見ています。プロットで示される実験結果も内挿しておりますがよく一致しています。このように、時効析出過程の計算で析出物の体積率や粒径の評価などができます。

Thermo-Calc:ニッケル合金 cubic形状のγ' 相の平均半径の時間変化

cubic形状のγ' 相の平均半径の時間変化

Thermo-Calc:ニッケル合金 plate形状のγ'' 相の長径の時間変化

plate形状のγ'' 相の長径の時間変化

計算にはTCNI10、MOBNI5データベースを使用

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Ni-Co合金における熱伝導率

Ni-Co合金における熱伝導率を計算した事例です。Ni基合金向け熱力学データベースTCNI11には熱特性のデータが含まれており、熱伝導率、熱抵抗率、熱拡散率の計算が可能です。グラフは種々の温度での熱伝導率のNi濃度依存性を計算し、Wenらによる実験値と比較しています。

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-Co合金における熱伝導率のNi濃度依存性 (温度:300, 600, 900, 1100K)

Ni-Co合金における熱伝導率のNi濃度依存性
(温度:300, 600, 900, 1100K)

計算にはTCNI11データベースを使用

Wen, Shiyi, et al. "A new model to describe composition and temperature dependence of thermal conductivity for solution phases in binary alloys." Journal of Materials Science & Technology 59 (2020): 72-82.

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Ni-Co合金における電気抵抗率

Ni-Co合金における熱伝導率を計算した事例です。Ni基合金向け熱力学データベースTCNI11には電気特性のデータが含まれており、電気伝導率、電気抵抗率の計算が可能です。グラフは種々の組成での熱伝導率の温度依存性を計算し、Bendickらによる実験値と比較しています。

Thermo-Calc:ニッケル合金 Ni-Co合金における電気抵抗率の温度依存性 (Ni:25, 50, 75mol%)

Ni-Co合金における電気抵抗率の温度依存性
(Ni:25, 50, 75mol%)

計算にはTCNI11データベースを使用

Bendick, W., H. H. Ettwig, and W. Pepperhoff. "Thermally excited electron transitions in FCC iron alloys." Journal of Magnetism and Magnetic Materials 10.2-3 (1979): 214-216.

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