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事例紹介:合金別事例Thermo-Calc:統合型熱力学計算システム

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合金別適用事例

超硬合金

WC-10Co (wt%) の状態図

CoをバインダーとするWC系の超硬合金の状態図を描画した事例です。超硬合金の製造プロセスでは、炭素含有量の制御が重要です。炭素濃度が低い場合、η相と呼ばれる炭化物相が形成されることがあります。この相は、大きなデンドライトとして析出する場合、超硬合金の靭性を低下させる傾向があります。逆に、高炭素濃度の超硬合金を製造すると、遊離炭素が黒鉛として析出し、材料の機械的特性を低下させることがあります。このように、Thermo-Calcでは状態図を描画することで、適切な温度や合金組成を予測することができます。

Thermo-Calc:超硬合金 WC-10Co (wt%) の状態図

WC-10Co (wt%) の状態図

García, José, et al. "Cemented carbide microstructures: a review." International Journal of Refractory Metals and Hard Materials 80 (2019): 40-68.

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WC-10Co (wt%) – Cr3C2の状態図

WC-10Co (wt%) へのCr3C2の添加の影響を予測した事例です。焼結時においてWCの粒成長を抑制するために、Cr3C2のような炭化物を添加することがあります。Cr3C2には耐食性を改善する効果もあります。一方で、Cr3C2の添加量が多過ぎると、脆性相のM7C3炭化物が生成し、破壊靭性を低下させてしまいます。Thermo-Calcを利用することで、計算状態図からM7C3炭化物が生成する組成を予測することができます。ZachrissonらはWC-17Co (vol%)に対して、4~12 vol%のCr3C2量を添加することで、M7C3炭化物の形成を確認しています。

Thermo-Calc:超硬合金 WC-10Co (wt%) – Cr3C2の状態図 TCHEA6を使用

WC-10Co (wt%) – Cr3C2の状態図
TCHEA6を使用

Zackrisson, Jenni, et al. "WC-Co based cemented carbides with large Cr3C2 additions." International Journal of Refractory Metals and Hard Materials 16.4-6 (1998): 417-422.

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高速度工具鋼(バインダー)の状態図

高速度工具鋼をバインダーとするNbC系の超硬合金について解析した事例です。焼結プロセスでは、COやCO2として炭素が脱離することがあります。このプロセスでは液相が十分に存在する温度域で熱処理をする必要があります。Thermo-Calcで得られた計算状態図より、炭素量が減少することで液相線が高温側へシフトすることが予測されます。このように、計算状態図から適切な焼結温度の指針を立てることができます。また、熱分析での液相線とThermo-Calcで予測した液相線を比較することで、昇温過程での炭素の脱離量の目安を評価することができます。

Thermo-Calc:超硬合金 M2高速度工具鋼における温度-平衡相分率 TCFE12を使用

M2高速度工具鋼における温度-平衡相分率
TCFE12を使用

Hadian, Amir, et al. "Influence of carbon content and processing treatment of metallic binder on the outgassing and sintering of NbC based cemented carbide." Ceramics International 46.18 (2020): 28422-28431.

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