超音波-熱伝導連成(HIFU)
概要
目的
HIFUの特性の解析に関しては、PZFlexでもっともよくおこなわれている解析の1つといえます。HIFUでは、超音波がボール形状の装置やフェーズドアレイによって1点に集中されます。ある細胞組織に焦点が当たるように設定し、その細胞を破壊することができます。
そのため、HIFUの解析では、超音波を照射し、組織中にどれだけの温度上昇が起こるかということがポイントになります。今回は1.5MHzのパルス波を照射した場合の組織中の温度を求めることを目的とします。
使用している機能
- 熱解析
超音波の伝わる速度はμ秒のオーダーなのに対し、熱の伝わる速度は秒のオーダーで大きく異なりますので、独立して解析することが可能です。すなわち、はじめに超音波の伝搬解析を行い、材料中で損失したエネルギーが熱に変わったと考え、次に熱解析を実行して解析することが可能です。
※必要な場合、超音波伝搬解析と熱解析を錬成して解析を行う機能もあります。
解析モデル
HIFUの解析のために、下記の軸対称モデルを作成しました。
中央の楕円形は組織、周りは水をモデル化しています。

解析結果
超音波伝搬解析
まず、超音波伝搬解析を行います。
超音波伝搬解析に使用した駆動波形を下図に示します。1.5MHzのパルス波を入力しました。

超音波伝搬解析の結果を下図に示します。
上が超音波伝搬図(圧力)、下が組織中央での圧力の時間変化です。
熱伝導解析
続いて、同じモデルで熱解析を行った結果を示します。
多くのHIFUシステムは、一定時間ONを継続した後、一定時間OFFとなります。
今回は、下図のように5.0秒ONして、1.0秒OFFするサイクルで、2回照射した解析を行いました。

熱伝導解析の結果を下図に示します。
上が温度分布の時間変化、下が組織中央での温度の時間変化です。