アプリケーション事例
FLAIR 航空機メンテナンススケジューリング
背景
航空機を正常に運行するためには、機材を適切に維持管理する必要があります。定期点検、オーバーホールを行なわなければ、機材を正常な状態に維持することはできません。
このメンテナンス作業は定められた期日までに行う必要がありますが、さらに、次のような制約条件があります。
- 飛行時間によりオーバーホール、定期点検の期日が変わる
- 機材の型、メンテナンス作業の種類により作業時間が変わる
- オーバーホール作業ができる工場は限られている
- 作業場のスペース、可能な作業の種類は各場所により異なる
- 作業ができる人員(スキル)、検査機は作業毎に異なる
プロトタイプの開発
COSYTECは、定期点検、オーバーホール作業の長期スケジュールを作成するプロトタイプシステムを開発しました。ここでは、6種類の機材30機のスケジュールを作成します。各点検工場はスペースに限りがあり、同時に作業できる機数が制限されます。また、検査員のスキルや長期休暇や研修スケジュールを考慮する必要があります。プロトタイプでは、1週間単位の精度で15年分のスケジュールが作成されます。
制約プログラミングシステムのCHIPを用いて、メンテナンス作業を点検期日に沿うようスケジュールしました。CHIPでは、期日からのずれをコスト関数としてコスト最小になるようスケジュールします。CHIPの組み込み制約宣言文のCUMULATIVE制約により、人員、サービスセンターの制限条件が表現されています。
ユーザーインターフェースはCHIPのモジュールのXGIPを用いて時系列グラフの形式で表示されています。画面上部はガントチャートで各サービスセンターでのメンテナンス機材を表します。画面中央は各機材毎の最早、最遅、最適作業開始時期を示します。画面下部は作業人員及びメンテナンス中機材の数を折れ線グラフとして表示しています。
スケジューリング
ユーザーはガントチャート上で機材を選んでどの設備、人員でメンテナンスされているかを調べられます。また、スケジューリングのパラメーターやソルバーの制約条件を変更するウィンドウも用意されています。人員必要数の山、谷をならすようにパラメーター調整することもできます。
このシステムでは、CHIPにより準最適解が自動的に求まります。さらに必要があれば、指定した期間内のスケジュールを改善できます。図の1次スケジュール結果では最大371人の人員が必要ですが、機材の一部についてユーザーがパラメーター調整により部分スケジュールを数秒間何回か繰り返すと、210人の人員で作業可能なスケジュールができます。
解
ミッドレンジのワークステーションでは、10秒以内にスケジュール結果をだすことができ、その結果は保存、比較できます。このプロトタイプは、ユーザーインターフェース、データを含め1200行のコードで記述できました。モデル化は1日ででき、4つのスケジュール戦略のテストを行って5日間でプロトタイプが完成しました。
結論
このタイプのアプリケーションは、高価な装置のメンテナンススケジューリング一般に応用可能です。
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