アプリケーション事例
APACHE 空港駐機場割付システム
問題
APACHEは空港における駐機場の利用スケジュールを作成するための意志決定ツールです。システムは、まずプロトタイプとしてパリのシャルルドゴール空港の第2ターミナルの駐機場割付を対象としました。
航空機は、ターミナルビル直結の搭乗ゲートまたはビルから離れたエプロンに割当てられます。割当の方法は種々の制約条件を満足しなければなりません。また、航空機の到着・出発予定は常に変更されるので、計画は何度も再作成しなければなりません。
このため、対話型のユーザーインターフェースが用意されています。システムに必要なデータはOracleデーターベースを通じて利用します。このシステムは、制約論理プログラミングシステムであるCHIPをベースに作成されています。APACHEは従来のOR手法や、ルールベースのエキスパートシステムに比較してとても早い実行スピードで結果を出します。30ゲート、200機の航空機に対して、全制約条件を考慮したスケジュールの再作成は15秒以内に実行されます。
目的
システムの主な目的は、全制約条件を常に満足する駐機スケジュールの案を把握するとともに、さらに次のコスト要因を考慮することです。
- ターミナル直結の最大化・・・・・・ターミナルの登場ゲートを直接使用する乗客の人数を最大にする
- 航空機牽引の最小化・・・・・・航空機の総牽引回数を最小にする
APACHEのスケジューラーは、適当な経験則を利用して、上記の対立するコスト要因のバランスをとります。
制約条件
CHIPシステムは以下のような制約条件を表現するために利用されています。
- 駐機場の制約・・・・・・ゲートによっては、利用不可能な機種がある
- 出入国管理・・・・・・・・各ゲートは、国際線、国内線用に区分けされている
- 特別なフライト・・・・・・VIP用のフライトには特別な制約条件がある
- 使用ターミナルの優先順位・・・・航空機ごとに望ましい駐機場所は異なる
- 航空機牽引用設備・・・・・・同時に牽引できる航空機数は限られる
- 駐機時間
制約条件のうちいくつかは、GUIを用いて直接変更が可能です。再スケジューリングを行うときは、現在の駐機状態が考慮され、また、以前の計画からの変更点をできるだけ少なくなるよう考慮されます。
再スケジューリングは自動的に行うこともできますし、ユーザー指定で行うこともできます。再スケジューリングは次のような時点で行われます。
- フライトスケジュールの変更・・・・・・フライトの到着・出発が遅延したりキャンセルされたりした時点
- 強制割付・・・・・・ユーザーが航空機をゲートに強制割付した時点
- ゲートが利用不可能になった・・・・・・前スケジュールでそのゲートに割当てられていた航空機をすべて他の位置に割当てなおす必要があるため
ユーザーの利用環境
APACHEは、X-WINDOWベースの対話型環境で利用します。データはさまざまな角度で見ることができます。
- ガントチャート・・・・・・駐機状況を時系列で表示する
- 駐機場状況・・・・・・各時点における駐機場の利用状況をグラフィック表示する
- 設備使用状況・・・・・・航空機牽引用の設備などの利用状況を表示する
- データ・・・・・・フライトおよび航空機に関する情報の表示
上記のそれぞれについて、ユーザーは、ズームアップして詳細を調べることができます。画面をクリックして、フライトの情報や制約条件を編集したり、ゲートの利用可能性を変更したり、他の駐機位置の可能性をチェックしたりできます。再スケジュールした結果、変更された計画はハイライト表示され、以前の計画と比較できます。
システムの統合
APACHEシステムはオープンシステムで、変化していく状況に対してもバージョンアップ可能です。また、既存の情報システムに容易に統合できます。CHIPのデーターベースインターフェースであるQUICにより、SQLでデーターベースを利用しています。APACHEシステムはUNIXワークステーションおよびPCで利用できます。
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