ステンレス鋼の強度や耐食性向上に寄与する窒素（N）の添加可能量は、合金組成、N添加方法に依存する。Thermo-CalcによるN濃度予測事例として、①大気溶解材のN添加可能量の予測、②固相窒素吸収処理条件によるN濃度予測について紹介する。
その他、一次炭化物を含むダイス鋼における凝固過程のミクロ組織について、Scheil-Gulliver、DICTRAを用いた偏析計算から予測した事例を紹介する。

金属積層造形技術は、複雑な部品を製造するための新たな技術として注目されています。本講演では、熱力学計算ソフトウェアThermo-Calcを用いて積層造形向け生体インプラント用途のチタン合金の候補材の探索事例を紹介します。また、合金組成の最適化のためのアプリケーションも併せて紹介します。

Thermo-Calc Softwareの開発元であるThermo-Calc Software ABは、スウェーデン王立工科大学発のソフトウェアベンダーとして誕生し、現在でも金属材料における最先端の研究に携わっています。Thermo-Calcソフトウェアや関連モジュールを “ツール” として活用した事例を紹介いたします。

本講演では、Thermo-Calcの代表的な拡張モジュールである、TC-PRISMAやDICTRAなどの活用事例を紹介します。Thermo-Calcが平衡状態を計算するのに対し、温度変化や時間変化など、動的な組織変化を計算対象とします。均質化や時効など、プロセス設計、組織設計に非常に有用なモジュールです。弊社の取組み事例を含め、プロダクトならびに拡張モジュールの活用事例を紹介します。

材料設計・開発において広く用いられているCALPHAD法について概説したあとで、CALPHAD法によって得られる計算結果に基づいた適用例（合金のアモルファス形成能、鉄鋼における溶質元素の粒界偏析挙動、積層欠陥エネルギーなど）について、私たちのグループで行っている研究を紹介する。

メジャーアップデート版のThermo-Calc 2023aが今冬リリースを予定しております。ソフトウェア本体のアップデートに加え、既存のデータベースの更新や新たなデータベースの提供開始の情報をご紹介します。

Thermo-Calcと連成してのミクロ組織形成過程の解析を可能とするMICRESSは、今年冬に最新版のリリースを予定しています。リリースに関する情報だけでなく、積層造形関連に関する事例や組織予測により得られる濃度分布情報をもとにした合金探索の事例をご案内します。