コラム:
イベントセミナー開催報告
科学プロダクト技術部 技術第3課 早川 尊行
[2024/10/31]
CTCのLS-DYNAユーザーカンファレンスとしては、約4年ぶりとなるリアルイベント(対面)開催でした。50名以上が参加され、イベント終了後にはささやかな懇親会も開かれました。こちら に講演概要などの情報があります。
図1 講演の様子(CTC神谷町オフィスにて)
今回は基調講演をスズキ株式会社様より賜り、好評を博しました。「スズキにおける衝突CAEの取り組み」と題して行われたこの講演では、海外のモータリゼーション動向やそれに伴う交通事故件数の深刻な伸びに触れた後、交通安全対策の考え方や各国の試験規格など基本的な事柄も含めわかりやすく解説いただきました。それらを踏まえた上で、先進的な解析技術の導入や精度向上への取り組みなどスズキにおける衝突CAEの取り組みが紹介されました。ばらつき評価を解析に取り入れ、設計段階でばらつきの起きにくい構造にリバイズした事例が示され、聴講者に驚きと感銘を与えました。
アンシス・ジャパン株式会社様にもご講演いただきました。「Ansys LS-DYNA製品群・Ansys製品連携のご紹介」と題して行われた講演では、LS-DYNAに関する製品群についての具体的な紹介や、総称としての「Ansys LS-DYNA」ブランドについての説明、Ansysソリューションとの連携についても紹介がありました。LST LS-DYNAとAnsys(Workbench)LS-DYNAの同じところと違うところ、できるところ・できないところをわかりやすく解説していただきました。普段、どちらかのLS-DYNAしかご利用されない方には新鮮な内容だったようです。
CTCからは複数の講演を行いましたが、ここでは「LS-DYNAR15の新機能紹介」について記載します。後日、Trans Simulationにて別途、他の講演も含めた記事を掲載予定です。
「LS-DYNA R15新機能紹介」は、Ansys社の資料をベースにCTCで行った調査や検証を踏まえて新バージョンの機能について紹介しました。HPCに関わる話題では、CTCで行ったカーボンクレジット付リースの利用事例や、最近のハードウェア事情や新旧ハードウェアでの速度差についての情報などを提供しました。
今回のメインコンテンツでもあるこの新機能紹介は、LS-DYNAが広範な機能を持つマルチフィジックスソルバーですので、多岐に渡る内容となっています。今回は昨年のR14と同様に、構造解析に近いもの、マルチフィジックス寄りの話題などにわけてお伝えしました。本記事の執筆者が主にこちらの講演を担当しましたが、準備面も含め、伝える内容や伝え方など、よりよい形を模索し続けていきたいと考えています。
図2 カーボンクレジットの利用イメージ
(出典:カーボンクレジット付リース適用によりIT機器の省エネ化と環境貢献の実現へ(CTCによる事例))
今回は久々のリアルイベントでした。対面ならではの交流ができたり、発表が行えたりといった面で収穫のある開催となりました。一方で、より多くの方に情報を届けるとか、手軽に参加していただける、といった面ではオンライン開催が好ましいことを再確認することができました。今後は、ハイブリッドでの開催も選択肢として、その時々の状況に合わせ開催形式を選択していくことになりそうです。