コラム:超音波・電磁技術
科学エンジニアリング第2部 竹田 毅
[2022/09/29]
近年、接触媒質を必要とせず非接触で非破壊検査が可能なレーザー超音波検査が注目されています。等方性材料(金属)については既に弊社の超音波解析ソフトウェアComWAVEに実装済みであるが、これを異方性材料(CFRP)に拡張することで更に広範囲な材料に対応します。
本機能を用いることで、CFRPを含む構造物に対して、複雑な超音波伝搬挙動の可視化、高精度な波形解析が可能になるため、レーザー超音波を用いた検査の適用範囲の拡大に貢献することが期待されます。
本稿では、CFRPを対象とした、レーザー超音波解析機能について、ComWAVEへの実装および動作確認結果を示します。
パルスレーザを材料表面に照射することにより短時間で熱荷重が発生し超音波が試験体の中を伝搬します。これをシミュレーションするためにレーザー入射による熱荷重を計算しComWAVEの波動解析の境界条件として渡すことでレーザー励起超音波をシミュレーションします。
この計算を図1に示す積層モデルに適用した計算結果を示します。
このモデルにレーザーを垂直入射した場合の温度と荷重の計算結果を図2に示します。
この結果を図3の通り、ComWAVEに非定常節点荷重データとして渡すことで連成解析を実行します。
温度-熱加重連成解析によるCFRPレーザー超音波解析結果を図4に示します。
この結果を見ると、超音波伝搬特性について、特にCFRP表面近傍の繊維方向の異方性の影響を受けていることが分かります。
本稿ではCFRPを対象とした、レーザー超音波解析機能について、ComWAVEへの実装および動作確認結果を示しました。
動作確認により、超音波伝搬特性には、特にCFRP表面近傍の繊維方向の異方性の影響を受けていることが分かりました。
本機能を用いることで、CFRPを含む構造物に対して、複雑な超音波伝搬挙動の可視化、高精度な波形解析が可能になるため、レーザー超音波を用いた検査の適用範囲の拡大に貢献することが期待されます。
本稿に記載している、CFRPを含むレーザー超音波解析機能の理論および実装について、東京大学生産技術研究所 斉藤 理 先生に技術指導をいただきました。お礼申し上げます。
*(1) ELSEVIER Volume 31, December 2021, 104927
*(2) 第28回超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集
入射角度と方向の異なるレーザー照射によるCFRP積層板への超音波励起の解析
超音波解析ソフトウェア ComWAVE™
https://www.eng-eye.com/ComWAVE/
ComWAVEの新機能「CFRPレーザー超音波解析機能」の詳細については、弊社主催の12月15日開催予定の「超音波ソリューションセミナー2022」で報告・リリースを行います。ご興味のある方は、ぜひ以下のURLよりセミナーに申し込みお願いします。