HOME技術コラム再エネNon-FIT(非FIT)に対するCTCのソリューション

コラム:再生可能エネルギー

再エネNon-FIT(非FIT)に対するCTCのソリューション

エネルギービジネス推進部 エネルギー技術課 甲斐島 武

[2022/03/31]

FITの果たしてきた役割と課題

世界的なカーボンニュートラルに向けた動きを背景に(関連記事:https://www.engineering-eye.com/rpt/column/2021/0928_renewable-energy.html)、再生可能エネルギー電源の更なる導入拡大を目的として、2012年からFIT制度(Feed-in Tariff;再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の運用が始まりました。電力市場価格は天気や燃料費等の変動により常に変動します(図1参照)が、FIT制度では変動に関わらず一定の価格で売電できるため、売電収入の予測が立てやすく融資が受けやすいことから、再エネの導入が一気に進みました。2020年度時点では、日本における発電電力量に占める再エネの比率は21.2%にまで達しています。

図1 電力市場価格の変動(JEPX取引結果データより作成。直近約1年間は日平均値) 直近1週間の電力価格 図1 電力市場価格の変動(JEPX取引結果データより作成。直近約1年間は日平均値) 直近1年間の電力価格

図1 電力市場価格の変動(JEPX取引結果データより作成。直近約1年間は日平均値)

このように、FIT制度は価格変動リスクから切り離すことで再エネ発電事業への参入障壁を引き下げるという効果はあったものの、再エネ賦課金による国民負担の増大や、再エネの更なる導入(2050年のカーボンニュートラル実現に向けて)に対する取組が進みづらいという状況になってしまっています。再エネの更なる導入に対する取組が進みづらいというのは、太陽光・風力発電出力の変動に伴い電力市場価格は変動するものであるのに対して、FIT制度では売電価格が変動しないためです。例えば太陽光発電について、売電価格が一定の条件下では、天気の変動そのままに晴れていれば発電し曇りや夜では発電しない状況となり、このままでは導入量が増えても晴れの昼間で余分に発電した電力は利用されず、曇りや夜間は火力発電で温室効果ガスを排出し続けるという状況は変わらないことになります。しかし、売電価格を電力市場価格に連動させることで、電力が余りがちな時間帯(電力市場価格が低い)の発電を電力が不足しがちな時間帯(電力市場価格が高い)にシフトさせるインセンティブが働き、再エネ電力が有効利用でき温室効果ガス排出も抑えられることになります。また、そのために必要な技術要素としては、蓄電池の利用や予測による発電・需要調整等が挙げられます。

現在のNon-FITの状況

現在、FITの売電価格は太陽光・風力発電を中心にかなり低下してきており、またFIT制度が適用できる発電所は限定されてきているため、FIT制度によらない、いわゆるNon-FIT(非FIT)の取り組みが始まっています。

まず、FIT制度の後継とも言えるのが、2022年度から運用が始まるFIP制度(Feed-in Premium)です。FIP制度では、売電価格が市場価格に連動するようになります。また、電力市場取引では前日や1時間前に発電電力の計画値も提出することになりますが、実績値が計画値から外れた分はインバランス料金の支払いが生じるため、発電電力の予測が重要となります。ただし、このような市場取引を各発電事業者が行うのは煩雑なため、アグリゲーターと呼ばれる仲介事業者が複数の発電事業者をまとめて代行取引する動きがあります。多地点の発電所をまとめることで発電変動が抑えられる(均し効果)だけでなく、蓄電池の活用や需要側も含めた需給調整を行うことで、インバランスリスクを抑えることが期待できます。

また、電力市場を介さず需要家へ直接電力を販売する、コーポレートPPA(Power Purchase Agreement;電力販売契約)が増えてきています。前述の通り、FIT価格は低下してきており、また現在はFIP制度への移行期に当たり、FIP制度の運用で詳細が今後変更される可能性もありFIP制度下での収支が見通しにくいことから、FIP移行の検討は行いつつ当面はコーポレートPPAでの再エネ導入を進めるという事業者が多いようです。また一方で、環境価値(非化石価値とも呼ばれます)を調達したい企業側から見ると、FIT・FIPの環境価値はまだ使いづらい(現時点ではRE100の証明に使える容量は限られている)ため、手っ取り早く環境価値を調達する手段として採用されています。基本的には、電力会社からの買電よりもできるだけ再エネ電力を利用する方が環境価値として有利となることから、需要と発電の日変動・季節変動パターンの想定とそれに応じた設計・運用が重要となります。

Non-FITに対するCTCのソリューション

上記のようなNon-FITの状況に対して、CTCのソリューションを紹介します(図2参照)。

図2 再エネおよび需要予測、エネルギーデータ管理・分析システム画面の例

図2 再エネおよび需要予測、エネルギーデータ管理・分析システム画面の例

まず、CTCでは1990年代から予報業務許可事業者として、再エネを含む気象予測事業を行っており、太陽光・風力発電電力および電力需要のリアルタイム予測データ提供を行うことができるだけでなく、これからFIPを始めるかどうか検討されている方へインバランス費用の推定を行うことも可能です。単一発電所だけでなく、複数発電所や需要設備、さらに蓄電池も含めたバランシンググループとしての予測も可能です。また、FIP・コーポレートPPAとも、需要と発電の日変動・季節変動パターンを想定することも可能です。

また同時に、CTCは情報処理サービス企業として、エネルギーデータ管理・分析システムを提供しており、各種発電・需要設備のデータを収集・管理するだけでなく、異常予兆検知・診断システム(Predict-It)のご提供も可能です。

なお、本記事は技術コラムということで、既にCTCの技術で実現できていることのみの記載としていますが、これ以外にも検討を行っていますので、ご相談ください。

関連ソリューション・プロダクトについてはこちら

再生可能エネルギー
https://www.engineering-eye.com/category/19/index.html

エネルギーマネジメント
https://www.engineering-eye.com/category/48/index.html

Predict-It
https://www.ctc-g.co.jp/solutions/predict_it/