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コラム:超音波・電磁技術

超音波解析ソフトウェアComWAVE Version 10 新機能

アプリケーションサービス部 CAEサービス2課 酒井 幸広

[2018/10/19]

ComWAVEは弊社自社製品の超音波解析ソフトウェアです。超音波の伝搬解析に特化したソフトウェアであり、自動車、非破壊検査・計測、製造分野等で使用されているソフトウェアです。
今回のバージョンアップでは、近年引合いの多い、自動車センサおよび非破壊検査分野に役立つ機能開発に注力しました。
自動車センサには、防犯センサや衝突回避センサ等がありますが、防犯センサでは車室内全体をモデル化するため、100億要素超の超大規模解析が必要になります。また、衝突回避センサでは車両、人、壁、電柱等の障害物からのエコーを正確に評価する必要があり、数メートルから10メートル程度の大空間の解析を行う必要があります。
また、非破壊検査では、複合材や合金等のミクロ組織を考慮した不均質異方材の超音波計測や、大型構造物の検査など、より複雑な材料および大型構造物が対象となってきており、3次元の大規模計算へのニーズもますます高まっています。
このため、今回のバージョンアップでは「100億要素規模の超大規模解析を手軽に行う!」をキーワードに開発を行いました。主な新機能は以下の通りです。

  1. 異なる解析空間への音場引き継ぎ機能
    FEMで取得した任意位置の波形、あるいは実験的に測定した波形を、別のFEM解析空間に引き継ぐことができます。例えばセンサ周辺の詳細なメッシュによる解析結果を、車両全体を含む大空間の解析に引き継ぐなど、メッシュサイズの異なる領域の解析をシームレスにつなぐことが可能です。
  2. 複雑なCADデータから100億要素規模のメッシュを効率的に作成する機能
    部品ごとのCADデータからメッシュを個別に作り、後から結合することで、効率的にメッシュ作成を行える機能です。本機能を用いると大規模メッシュが高速に生成できるばかりでなく、部分的に形状を差し替えることも容易になるなどの、メリットがあります。
  3. NASTRANメッシュのインポート機能
    構造解析等で良く使われている、NASTRANメッシュを用いたモデリングが可能になりました。これより、ユーザ様の使い慣れたCAEモデリングツールで作成した形状を、容易にComWAVEに取り込むことが可能です。
  4. レーザー超音波、EMAT、円筒座標系ソルバー、圧力場FEM計算(オプション)がGPUに対応し、高速計算が可能になりました。
  5. メッシュファイルの圧縮入出力機能
    大規模モデルになるとメッシュデータサイズが数十GBになり、ハードディスクを圧迫するため、圧縮形式で入出力を行うことが可能になりました。
  6. 解析結果コンターファイル間引き出力機能
    大規模計算では解析結果ファイルが膨大になるため、指定間隔で間引き出力を行えるようになりました。
  7. 非破壊検査向けユーザインターフェースComWAVE Lab for NDEの改良
    C、Dスキャン解析機能を追加しました。本機能は、3次元モデル中の複数断面の探傷解析を自動実行し、C、Dスキャン画像を出力する機能です。
  8. Linuxやクラウド環境での解析を行うための、スクリプト自動生成、転送機能
    1つあるいは複数の解析について、「前処理~計算~後処理」の一連の処理を行うスクリプトを自動生成し、一括で転送、実行することができます。

ここでは大規模解析に関連した機能を中心に説明しましたが、他にも、様々な機能追加を行っています。詳しくはComWAVEの新機能紹介ページにお立ち寄り、御確認ください。

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超音波解析ソフトウェア ComWAVE Ver.10 新機能紹介ページはこちら
http://www.eng-eye.com/ComWAVE/details/index.html#anchor_v100