コラム:製造・構造
科学・工学技術部 複合材技術課 太田垣 良
[2018/08/24]
私は、CTCにおいて16年間、大学を含めると18年以上構造解析に携わってきました。その間、ソフトウェアの機能やハードウェアが発展したこともあり、より複雑な現象をシミュレートすることが可能になり、お客様からの要求も難易度が上がっているように感じています。ここでは、今までに取り組んできた、現在取り組み中のCAEについて、キーワードベースになりますが、ご紹介したいと思います。
私達は、4,5年前よりCFRP(炭素繊維強化樹脂)に代表される複合材料に着目し、独自技術をいかしたCAEを核として、自動車・素材・航空機分野に対して、エンジニアリングサービスやツール開発・販売(Composites Dream)のビジネスを展開しています。このように書くと圧倒的な技術や知識を持ち、顧客の課題を解決していく知能集団のように思われるかも知れませんが、目指してはいますが、実際には欠けている部分が多くあります。CAEの技術者として専門知識・経験はある程度持っていますが、CAEの対象となるものづくりの知識・経験が少なく、特に複合材料の製造プロセスの理解が不足しているように感じています。このような状況なので、お客様の課題をヒアリングして、即座にソリューションを提供し、課題解決に至るというようなことはめったにありません。特に複合材料に関しては、設計・材料・プロセスで製品の機械的特性が決まりますので、プロセス(製造工程)シミュレーションが大切であり、お客様からの要望も多いのですが、現象が複雑、生産プロセス自体が確立されていない(鋼材に比べて)、次々に新しい材料が誕生するなどの要因により、苦労しているのが実情です。このような複雑な現象をシミュレーションするには、汎用ソルバー単独では完結することが少なく、組み合わせたり、機能を追加したり、つなげたりすることが多くなっています。
個別のお客様に対して実施したサービスですので、詳細を記すことはできませんが、ご興味・ご関心を持たれた方、課題をお持ちの方は、お問い合わせ頂けると嬉しいです。