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コラム:建設系

反射法地震探査のご紹介

科学システム開発部 応用システム2課 加藤 進

[2017/06/16]

1.反射法地震探査

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地下には、人類にとって有用な物質が偏在しています。また、地質構造やその状況を知ることも有益です。しかし、残念ながら地上とは異なり、これらは直接手に触れることも見ることもできません。地下を広範囲に掘り返せば直接見ることはできますが、天文学的なコストがかかり現実的ではありません。そこで、比較的低コストで地下の情報を得るため、地上から探査することになります。

探査には多くの手法があり、観測対象の現象により「物理探査」、「化学探査」および「生物探査」に分けられます。また、探査の対象物自体が持つ現象を観測する「受動的探査」と、対象物に何らかの作用(エネルギー)を入力し対象物からの反応を観測する「能動的探査」にも分けられます。「物理探査」の後者の一つが「地震探査」となります。

「地震探査」では、入力するエネルギーを得るため人工地震を用います。人工地震により発生したエネルギーは波動(地震波)として地中を伝播し、地層の境界で反射しあるいは屈折して地上に戻ってきます。「地震探査」は、地震波が地上に戻ってくるまで時間を測定して地質構造を推定する手法です。実際には、地上に戻ってくる地震波の時系列を記録します。

人工『地震』とはいっても、自然地震に比べるとその規模は圧倒的に小さく、陸上での探査ではダイナマイトなどの爆破系震源やバイブロサイスという起震機が震源として主に用いられます。海上での探査では、探査の対象深度にもよりますが、エアガンと呼ばれる巨大な空気鉄砲が震源として主に用いられます。
「地震探査」には、地中を伝播した地震波が地層境界で反射したものを対象とする「反射法地震探査」と地層境界で屈折(全反射)したものを対象とする「屈折法地震探査」があります。私たちは、「反射法地震探査」で得られたデータの処理を行っています。

「反射法地震探査」の原理は、地層境界で反射した波が戻ってくるまでの時間、つまり往復時間から地層境界の位置を知ることです。健康診断で行われる超音波エコー検査やレーダーは同じ原理です。また、やまびこ(エコー)で遠いところの山までの距離を推定するのも同じです。これを線状あるいは面状に展開し断面図として表示することにより、地層境界の二次元的あるいは三次元的な位置を把握することが可能となります。

2.シミュレーションとの違い

我々が観測する物理現象は、ある入力がある物理系(フィルタ)を通過し、そこから出力された物理的な現象です。当本部の多くの部署で解析業務として行っているシミュレーションは、既知の入力とフィルタ(想定するモデルと物理過程)により、その結果(出力)を予測するものです。

これに対し、地下探査のデータ処理では、入力と出力結果は既知であるものの、フィルタ(モデル=地質構造)が未知です。従って、既知である入力と出力よりフィルタを推定する、いわゆる逆解析となります。

3.反射法地震探査のデータ処理

自然を相手にしているため、データには(広い意味も含めて)様々なノイズが含まれています。このノイズを除去するのが「処理」と言っても過言でありません。
データ処理はコンピュータがない時代より行われていましたが、当時はペンレコーダなどで記録したアナログ記録上で定規とコンパスを用いて行っていました。
その後、コンピュータ技術の発展に伴いデジタル処理が可能となり、格段の進歩を遂げました。

ノイズは、その発現形態の観点では、コヒーレントノイズとランダムノイズに分けられます。前者は何らかの関係性を持ってデータ上に連続して現れるものであり、後者はランダムに現れるものです。また、発生源の観点では、探査対象以外のものから発生するものと探査対象自体が内包するものに分けられます。ノイズの特徴を掴み、それに適合した処理方法を何段にもわたって適用していくことになります。

処理の手法は次々と考案されています。しかし、原理的には古くからあったものの、当時はコンピュータの計算能力が低く現実的ではなかったものが、コンピュータの計算能力の飛躍的な向上に伴い、通常の処理として実施されているものも多々あります。
私たちは、デジタル処理を駆使して日々ノイズと格闘しています。

本記事に関連するLandmark(Halliburton)ソリューションのご紹介ページはこちら

http://www.engineering-eye.com/LANDMARK/details/index.html
https://www.halliburton.com/en/software