低炭素鋼のオーステナイト-フェライト変態シミュレーション
Fe-0.023C-0.17Mn-0.009Si[wt%]低炭素鋼の初期オーステナイトのミクロ組織をMICRESSのボロノイ分割機能によりモデル化しました。213個のランダムに配向した結晶粒系を1543個の計算格子に離散化しています。冷却中、MICRESSにて相変態の移動度をC拡散律速として計算しました。オーステナイト相は、セメンタイトを形成せずにフェライト相となりますが、図1に示す温度範囲では残留オーステナイト粒を有した組織となりました。
MICRESSの計算結果から、任意の時間ステップについて、ミクロ組織構造と結晶方位ファイルを抽出し、均質化法計算ソフトウェアHOMATへデータを転送した後、熱弾性均質化計算を実施しました。図2および図3は、ヤング率およびアイゲンひずみの温度変化を示しています。ヤング率Ehom(T)は相変態中に大きく減少しました。オーステナイトよりもフェライトのモル体積が大きいため、アイゲンひずみκは増加しました。さらに、実験の膨張曲線と比較できるように、計算結果より膨張曲線を作成することができます。
G.J.Schmitz and U.Prahl (eds)
Handbook of Software Solutions for ICME
Wiley VCH, Weinheim (2016), ISBN 978-3-527-33902-0