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詳細FLAC/FLAC3D:2次元/3次元有限差分法解析プログラム

バージョン情報


FLAC3D V.7.0 好評発売中のお知らせ

FLAC3D の新バージョン、V.7.0を好評発売中です。この新バージョンは、計算の高速化、モデリング、グラフィック、およびItascaソフトウェアのより進化した統合環境に関して大幅に強化された機能を提供します。
V.7.0で追加された主要な新機能をご紹介します。

Faster Solutions
Multi-threaded FISH
New Constitutive Models
Software Integration
User Interface Improvement
And more
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高速化

FLAC3D V.7.0では、モデリングソリューションの実行時間に対して大幅な機能強化が行われています。(1)より多くのコンポーネントがマルチスレッド化され、(2)最近のハードウェア構成でパフォーマンスを向上させるためにFLAC3Dのアルゴリズムが大幅に更新されたため、速度が向上しました。
FLAC3D V.7.0では、サーマルソリューション(オプション)、アタッチロジック、およびFISHスクリプティングに対するマルチスレッド機能の適用範囲が拡大されました。さらに、解析アルゴリズムと最適化が、アタッチロジックと力学的、流体、熱解析機能を改善しました。実際の速度向上は各ユーザーが使用しているコンピュータシステムに依存しますが、FLAC3D V.7.0は使用するハードウェアの最大のパフォーマンスで動作します。

力学計算

70%

次のグラフは、CPUのコア数が増えるにしたがって力学計算の速度が向上することを示しています。
全体的なパフォーマンスは最適化されたそれぞれの構成則によって異なります。
最適化は、一般的な計算サイクルと構成則の計算の両方の効率化によって行われます。
以下のグラフでは、2つの構成則(モールクーロン(MC)とひずみ軟化ユビキタスジョイント(SUBI))をバージョン6.0(破線の曲線)とバージョン7.0(実線の曲線)の間で比較しています。バージョン7.0では平均70%(18Core i9 7980 2.6 GHz Intelプロセッサを使用、200万ゾーンのモデルの場合)の力学計算の速度改善が測定されています。ただし、歪み軟化ユビキタスジョイント構成則では、スピードアップは400%に近くなります。構造要素(ロックボルト、梁、ケーブルなど)は、バージョン7.0を使用すると約10%計算速度が向上します。

力学計算

流体計算

2.5x

次のグラフは、CPUのコア数が増えるにしたがって流体計算の速度が向上することを示しています。
全体的なパフォーマンスは、FLAC3Dが陽解法(青い曲線)または陰解法(赤い曲線)のどちらの有限体積法を使用しているかによって異なります。バージョン6.0(破線)とバージョン7.0(実線)を比較すると、バージョン7.0では2.5倍から3倍(18Core i9 7980 2.6 GHz Intelプロセッサを使用、200万ゾーンのモデルの場合)の計算速度の改善が見られます。

流体計算

熱計算

10x

FLAC3Dのサーマルオプションには、熱伝導モデルと熱移流モデルの両方が組み込まれています。熱伝導モデルは、材料内の熱伝導過程のシミュレーション、および熱による生じる変位と応力を計算します。熱移流モデルでは対流による熱の移動を考慮します。流体密度の温度依存性と流体内の熱移流をシミュレートできます。

バージョン7.0では、オプションのサーマルソリューションが再最適化され、マルチスレッド化されたため、陽解法では10倍、陰解法では11倍(18Core i9 7980 2.6 GHz Intelプロセッサを使用、200万ゾーンのモデルの場合)の速度向上が実現しました。

アタッチロジック

5x

アタッチロジックは、あるゾーンのグリッドポイントをマスターグリッドポイント、エッジ、または他のゾーンの面に固定的にアタッチ(またはスレーブ)するために使用されます。これにより、完全に整合しない複雑なグリッドを単一のグリッドとして動作させることができます。作成されたアタッチグリッドポイントは、コマンドとFISHからのアクセスが可能です。 バージョン7.0では、アタッチロジックが再最適化され、マルチスレッド化されたため、速度が5倍向上しました(10Core i9のPCを使用。200万ゾーンのモデルの場合)。より細かく、より複雑なメッシュの場合、速度はさらに大きく向上します。

また、アタッチロジックはインターフェイス要素と埋め込みライナー要素を自動的にスキップするので、インターフェイス要素とライナー要素を使用した複雑な高密度メッシュの作成が非常に簡単になります。

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マルチスレッドFISH

Itascaは現在FLAC3DのMPIバージョンを開発中です。
その開発に伴い、FISHスクリプト言語をマルチスレッド化した結果、関数の実行速度が大幅に向上しました。マルチスレッドFISHを最大限に活用するために、新しいLISTデータタイプ、SPLITTING構文、およびOPERATORが追加されました。

FISH LISTとSPLITTING

新しいLISTタイプは、オブジェクトの選択(ゾーン、グリッドポイント、構造要素など)の処理を簡易化および高速化し、SPLITTING構文がリストの複数の要素に対して同じ操作を実行できるようにします。遅いloop-endloop構造は排除されます。リスト(LIST)と分割(SPLITTING)は、利用可能なすべてのスレッドで自動的に実行されます。

たとえば、すべてのゾーンポインタのリスト(値によって渡される配列)を作成するには、次のようにします。

local fred = list(zone.list)  ; fred はモデル内のすべてのゾーンポインタのリストです。

分割構文を使用して、使用可能なすべてのスレッドにわたって1行でそれらすべての変数を利用します。

local yvalues = zone.pos(:: zone.list)-> y  ; すべてのゾーンのy位置のリスト

フィルタリングも可能です(演算値のリストを引数として渡します)。

local blist = zone.isgroup('mygroup',:: zone.list)
local yin = yvalues(blist)

FISH演算子Operators

Operatorsは、マルチスレッドで呼び出されるように設計されたFISH関数の独立したクラスです。以下の部分について:

演算子Operatorsを使用すると、次のことが可能になります。

結果は利用可能なすべてのスレッドで実行されるため、計算中のFISH実行のボトルネックが大幅に減少します。 FLAC3D MPIが完成すると、多くのFISHオペレーターは完全に変更されずに分散ノード上で実行されます。

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ソフトウェアの統合

FLAC3D、PFC、および3DECの計算およびプロットエンジンは、共通のグラフィカルユーザーインターフェイスおよび計算実行システムへのプラグインとして設計されています。 PFCと3DECは、FLAC3D V.7.0の起動時に常に自動的にロードされます。このアーキテクチャにより、3つすべてを同時に計算実行することができ、FLAC3Dで連続体の有限体積法モデルと個別要素法モデルを連成させて解析することができます。この連成モデルの解析を実行する場合には、各ソフトウェア(FLAC3D、PFC、および3DECの任意の組み合わせ)のそれぞれに対して有効なライセンスが必要です。
どのソフトウェアもデモモードで実行することができますが、デモモードで使用すると、いくつかの機能と、モデルに含まれるゾーン、ボール、ブロックなどの数が制限されます。FLAC3D上で他のプログラムの要素を表示することができます。

FLAC3D V.7.0計算に連成できるPFC V.7.0および3DEC V.7.0のプラグインはAlphaバージョンです(つまり、完全にはテストされておらず、ドキュメントは未完で、新しい機能はまだ完成していません)。ただし、これらのプログラムのアップデートに伴い、FLAC3D V.7.0も対応してアップデートします。FLAC3Dの最新バージョンには、リリース時にこれらのソフトウェアのその時点でのバージョンも含まれます。この新たな機能をお試しください。但し、これらのソフトウェアは正式リリースバージョンではありませんので、ご使用にあたりましては、あくまで各ユーザー様の責任においてご使用していただくようにお願いたします。

ソフトウェアの統合
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ユーザインタフェースの改良

プロット機能の改良

  • プロットレンダリングエンジンを、より高機能でより速いグラフィックを実現するためにシェーダプログラム(OpenGL)に更新しました。
  • Windowsリモートデスクトップ環境で作業している場合、FLAC3D V.7.0は自動的にDirectX変換(ANGLE)に切り替わります。
  • OpenGLドライバを利用する場合は、[Option]メニュー項目の[Startup]ダイアログから、DirectXに手動で切り替えることができます。
  • プロットアイテムの複数の分割画面表示を同期する機能が追加されました。
  • プロット項目のレンジのハイライト表示、選択、他のプロット項目へのコピーが可能です。
  • 1つのプロット内の変更により、同期されたすべてのビューが調整されるように、複数のプロットにわたってカメラビューの設定を同期してカット&ペーストする機能が追加されました。

新しいツール

  • すべてのドキュメントはHTMLで提供されており、FLAC3D内では専用のコンテキスト対応(F1キー)ペインとして、あるいは通常のブラウザで表示できます。
  • モデルペインの機能強化:
    構造要素(ケーブル、梁、ロックボルトなど)を表示、選択、およびグループに割り当てることができるようになりました。
  • 構成則モデルを選択したゾーングループに割り当てることができるようになりました。
新しいツール
  • 内部のフェイスコントロールポイント(下図の黒のポイント)がBuilding Blocksペインに追加されました。このことで以下の内容が改良されました。
    • サーフェスでのブロックの曲率の指定が可能になりました。
    • 効果的なドレーピングがより簡単になりました。
    • 必要とされるブロックが少なくなりました。
新しいツール
  • ダイアログの改良:
    • 最近のプロジェクトのフライアウトリストを含む合理化されたファイルメニュー
    • アイテムダイアログからプロジェクトが開けるようになりました。
    • 開いているダイアログにお気に入りフォルダを追加出来るようになりました。
ダイアログの改良

非構造的メッシュとジオメトリ

  • FLAC3Dの2D押し出し機能に、非構造的メッシュジェネレータが追加されました。
非構造的メッシュとジオメトリ
  • 2D押し出し機能に、DXFから複雑な一連のエッジをジオメトリとしてインポートし、それらを押し出しエッジに自動的に変換し、非構造的押し出しメッシュを生成する機能が追加されました。
非構造的メッシュとジオメトリ
  • インポートされたジオメトリデータを視覚化して操作したり、DXFファイルからインポートされたジオメトリデータを管理しやすくするためのジオメトリペインを追加しました。
  • Geometryペインでは、ジオメトリセットの作成および編集することも可能です。
非構造的メッシュとジオメトリ
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新しい構成則

P2Pサンドモデル(動的/液状化)

Itascaは、DM04(Sanisand)モデルをベースにした、FLAC3D用の新しい実用的な3D液状化構成則モデルであるP2P-Sand(砂の実用的な2面塑性モデル)モデル(Dafalias&Manzari、2004)を導入しました。元のDM04モデル(Sanisandモデル)の簡潔さを損なうことなくいくつかの式を修正することによって、様々な初期条件と負荷条件に対しシミュレーション結果と実験室/現場観測の結果との整合性が改善されます。さらに、新しい液状化モデルは、実験データの代わりに現場データに対しより簡単でより実用的なキャリブレーション手順を提供し、キャリブレーションの手間を大幅に削減します。

詳細は以下のとおりです。

ItascaのP2P-Sand構成則モデル:

  • ロード角(Lode角)効果を考慮して一般的な3D定式化を保持し、一般的な3D境界値問題に使用することができます。
  • 弾性率、塑性硬化率、臨界状態を含むすべての空隙率関連式を相対密度関連式に切り替えます。
  • デフォルトパラメータを使用する場合、(N1)60やqc1Nなどの一部の現場パラメータに対するCRRの半経験的関係を一致させるために、初期土壌相対密度(Dr)と初期応力のみが必要です。
  • 1組のモデル定数をセットし、異なる初期相対密度と初期応力条件の応答をシミュレートします。

詳細はこちら:(Itasca エンジニアDr. Zhao Chengの発表資料)
PDF A Practical 3D Bounding Surface Plastic Sand Model for Geotechnical Earthquake Engineering Application (PDF, 4 MB)

NorSand(静的/動的/液化)

NorSand(Jefferies 1993、Jefferies and Been 2015)は、粒子間の相互作用が結合ではなく接触力とすべりによって制御される土壌に適用可能な臨界状態のモデルであり、本質的に粒状の挙動を捉えるように状態パラメータを取り入れます。土壌の拘束応力および密度の影響にまたがる広範囲に応用しています。NorSandは、日常の実験室試験または現場試験(例えば、CPTデータ)から得られた比較的少ない土壌特性しか必要としません。

NorSandは、非常に緩い砂の静的な液状化から密な砂のダイレタンシーまで、あらゆる種類の土壌の挙動を明確に捉えています。それは、過度に盛り上がっている、急勾配になっている、または間隙水圧が急激に上昇している土壌構造の典型的な脆性崩壊(すなわち流動液状化)をシミュレートするのに適しています。このモデルは鉱滓ダム解析に頻繁に利用されます。

FLAC3Dへの実装では、異なる第2主応力のせん断強度を区別できるように、Lode角度の効果を考慮しています。最近開発された主応力回転の特性も組み込まれているので、サイクリックモビリティと静的液状化がシミュレートできます。結果は、さまざまな密度、排水条件、およびテストタイプ(3軸圧縮および単純せん断を含む)のシミュレーションにおいて、VBAコード化されたスプレッドシートと相互検証されました。

次の図は、主応力回転(PSR)の影響を考慮したFLAC3D 7のNorSand(赤、実線)解析結果が単純せん断(DSS)試験(青、破線)の試験結果とよく一致していることを示しています。

NorSand(静的/動的/液化)

軟弱地盤モデル

軟弱土壌とは、一般に、正規圧密またはわずかに過圧密粘土、シルト質粘土、粘土質シルト、および泥炭を指します。著しい圧縮(例えば、Eoedref < 0.5E50ref)は、軟弱地盤の主要な工学的特性の一つです。軟弱地盤(SS)モデルは次のような特徴を持っています。(a)圧力依存変形係数。 (b)初期荷重からの除荷と再載荷。 (c)体積降伏楕円形キャップの拡張。 (d)従来のモール - クーロンせん断および引張の破壊基準。

軟弱地盤クリープモデル

Soft-Soil(SS)モデルは、2次圧縮中に発生するクリープなどの時間依存の挙動をシミュレートすることはできません。軟弱地盤のクリープ挙動の考慮は、例えば堤防の建設などの地盤工学的問題に対して重要となる場合があります。 Soft-Soil-Creep(SSC)モデル(Vermeer and Neher、1999)は時間依存性を考慮しているため、体積キャップは、SSモデルのように瞬時ではなく、特定の時間内(モデル内の参照時間と呼ばれる)に新しい位置に拡張します。さらに、拡大率は継続的に減少しても、キャップの拡大が停止しません。拡張率は、現在のOCRの値によって決まります。OCRが高いと、クリープ変形は無視できます。SSCモデルは以下の特徴を有します。(a)二次時間依存圧縮。 (b)圧力依存変形係数。 (c)初期荷重からの除荷と再載荷。(d)初期圧密の等価的圧力の記憶。 (e)クリープタイムステップがゼロのとき従来のモール - クーロン破壊基準と一致。

微小ひずみ剛性の塑性硬化モデル(更新)

変形係数のひずみ依存性を考慮するために、塑性硬化モデルに微小ひずみ剛性計算のオプションが追加されました。PHモデルは、非常に小さいひずみレベルでの除荷と再載荷は弾性的挙動を想定していますが、微小ひずみ剛性の定式化では、剛性はひずみの増加に伴って非線形特性を用います。このオプションを使用すると、変形シミュレーションの精度向上が得られます。PHSSは、モデルプロパティフラグ(zone property flag-smallstrain on)によって有効になります。

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その他の追加機能

  • アタッチロジックは、インターフェイスと埋め込みライナーを自動的にスキップするようになりました。これにより、インターフェイスとライナーを使用した複雑な高密度メッシュの作成が非常に簡単になります。
  • セーブファイルと結果ファイルを圧縮・復元することができるようになり、3〜5倍程度の圧縮率でファイルサイズを減らすことができるようになりました。
  • ファイルのバックアップが可能になりました。プロジェクトファイルは定期的に自動的にバックアップされ、モデルの状態は計算サイクル中も定期的に保存されます(デフォルト設定は4時間です。この値は[オプション]ダイアログで変更できます)。 このバックアップ機能により停電や偶発的な終了による作業時間のロスを最小限に抑えることができます。
  • 構造要素節点には任意の数のリンクを指定することができるため、節点共通特性の表現が大幅に簡単になりました。これは、多数の構造物(杭、ロックボルト、ケーブル、梁、シェル)を含む複雑な建設工学プロジェクトに特に役立ちます。
  • Pythonを使用したスクリプト作成エンジンがPython 3に更新されました。
  • ユーザーに最新の情報を提供するためにスタートアップシーケンスダイアログが改良されました。
  • FLAC3Dのプログラムが更新されるたびに、サンプルプロジェクト・データファイルとC++UDMサポートファイルが自動的に更新されるようになりました。
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