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映像分析を活用したソーシャルディスタンス

DSビジネス推進部 コネクテッドビジネス課 児玉 浩徳

[2020/09/24]

カメラ映像を活用するシーンは防犯(セキュリティ)関係が多く、その広がりがあまり多くはありませんでした。しかし、急速な市場の変化およびAI等の技術進化が、セキュリティの高度化だけではなく、他の利用方法として考えられ始めました。
本稿では、ソーシャルディスタンスをテーマに映像分析を活用し感染予防対策への利用方法や、映像から取得した情報をシミュレーションへの活用についてご紹介します。

映像から距離を割り出す

まず、デモ映像をご覧ください。
人が往来している環境で、人と人の距離を測定し接近した(2m以下)場合は赤く知らせるというものになります。

一般的にカメラは見下ろす方向に撮影されます。しかし、映像自身は2次元になり実際の空間(3次元)は画面手前と奥では物体の大きさや距離などを測ることはできません。映像およびメタデータとして、各種係数が埋め込まれているわけではないため映像に透視図法(線遠近法)をベースに独自の係数もちいることで、モノ(人)の大きさや距離を認識できるようにしています。デモ映像の場合は、消失点が左斜め上方向で構成されています。このことより、消失点に向かい物体が小さく距離が短くなっていくことが識別できるようになります。

イメージ

次に、映像にある物体は、AI(ディープラーニング)等で学習させることにより人やモノ(車やカバンなど)として認識し、ソーシャルディスタンスの場合は、人と人の距離をリアルタイムに演算・表示するようなフローになります。また、同時に通行人数など計測することにより他での利用も可能になります。
つまり、映像分析を行う工程は、①空間認識、②物体識別(AI)のフローになります。ここまでは前処理になり、実際には物体の動き/変化などをみて、人が感じることに近い状況をAI映像分析ソリューションで認識できることができるようになります。
要素として4W1H(When, Where, What/Who,How)を組み合わせることで、映像を通して何が起こっているのかを分析しています。
例えば、駐車禁止エリアで駐車違反している車(5分以上)を検知したい場合は
  Where : 駐車禁止エリア
  When : 24時間監視
  What/Who: 車
  How:5分以上動いていないことを識別
を組み合わせ、駐車違反を検知することが可能になります。

映像分析をどのように活用するのか

デモ映像の場合は、混み具合は少ないので問題はないと思われますが、通勤通学のラッシュ時間帯やイベント会場へ向かうルートでは、密(混雑)状態になる可能性が高いと考えられます。このため、人(警備員)による誘導やデジタルサイネージによる誘導するなど、現場の支援として活用(警備員の配置最適化やリアルタイムでの感染予防対策)などで利用可能です。
デモ映像では、類似の事例になりますが空港のカウンターの待ち行列の状況を判断し、カウンターをオープンさせるか事例です。

より高度な利用方法としては、事前に混雑状況を予測することで警備員の配置(人数確保など)は、費用と現場負担を両立させるアプローチです。駅などのコンコースで検討する場合は、映像分析にて取得した通行人数をデータとして使うことにより、実態に即したシミュレーションが可能で、構内工事などによる影響なども事前に検討しやすくなる可能性あり、曜日や時間に応じた人員配置などを前もって計画できるようになると考えられます。

取組みのご案内

映像分析は幅が広いため、本稿ではソーシャルディスタンスをテーマに簡素化した内容にしています。本テーマでは感染拡大防止と同時に人手不足軽減などの課題を支援できるよう進めさせていただいています。
また、映像を使って実際の状況を知りたい・何ができるか試したいというお話が増えており、導入前に実験プランを準備していますので、お気軽にご相談ください。
空間認識+AI映像分析+4W1H(When, Where, What/Who,How)を組み合わせることにより、人手不足の軽減・業務効率化や新しい生活様式の支援など各種課題に取り組んでいきます。

映像・資料協力:Ipsotek Ltd、株式会社K.J.フェロー