コラム:建設系
科学プロダクト技術部 技術第2課 吉田 哲也
[2024/08/26]
令和5年度のBIM/CIM原則適用に伴い、3次元モデルの作成・活用が義務項目となり、そのため3次元地質モデルを作成するソフトウェアの需要がより高まっています。
CTCでは、上記のソリューションとして、3次元地質モデルを作成するためのソフトウェア「GEORAMA」を提供しております。GEORAMAは、発売以来3次元地質モデルの作成に関して、建設業界に幅広く普及しています。
本稿では、GEORAMAのBIM/CIM対応と次期バージョンの改良予定の項目についてご紹介します。
GEORAMAのメイン機能について簡単に紹介します。GEORAMAでは、3次元地質モデルを作成するために以下の3つの機能があります。
(1)はXML形式のボーリングデータを読込み、柱状図の自動作成、地質の自動登録が可能となります。(2)は平面図上に断面位置を線形で定義することで、地質断面図を自動作成する機能になります。(3)では、(2)で作成した地質断面図の情報を入力として、地層の境界サーフェスを自動計算し描画する機能です。
GEORAMAで3次元地質モデルを作成するフローはシンプルであり、
といったフローになります(図1)。上記のフローは、従来の地質関連図作成のフローを踏襲しているところが特徴の一つです。
2. で紹介したGEORAMAの3次元モデル作成に必要な機能は、GEORAMAが持つ機能のごく一部であり、他にも多くの機能を持っています。
ここでは、「令和5年度のBIM/CIM原則適用」にフォーカスして、CIMモデル作成のための機能(BIM/CIM対応に関わる機能)をご紹介します。
GEORAMAは作成したモデルに属性を付与するために、以下に示す機能があります。
上記3つの機能は、国交省が提示している「BIM/CIM活用ガイドライン(案)第1編 共通編」の「3.1.2 地質・土質モデルの種類」において、「地質・土質モデルの主な種類」として示されています。
上記3つの機能を用いることで、3次元モデル作成のみならず属性付与も含めたCIMモデルがGEORAMAで作成可能となります。
GEORAMAは2.、3.で示したように、3次元地質モデル、BIM/CIMモデルを作成するための機能は一通りそろっていますが、ご紹介した機能以外にも多くの機能があり、全てを活用できていないというユーザ様も少なくありません。そのため、GEORAMA ver2025では以下を目的とした改良・コンテンツの拡充を行う予定です。
①については、GEORAMAパレットを見直し、項目ごとの分類分け、目的別にパレットの表示項目の変更など、ユーザビリティ・アクセスビリティが向上するようなGUIに改良し、GEORAMAを使いやすくすることを目指します。
②については、3次元地質モデルを作成するハードルを下げ、初心者でも3次元地質モデルを現状より容易に作成できることを目指します。GEORAMAの3次元地質モデル作成作業において、比較的時間を要するのは、地質断面図作成作業になります。この地質断面図の作成の補助機能として作成イメージや境界線詳細を逐次確認しながら地質断面図の作成が行えるように改良をする予定です(図5)。また、機能改良の他にモデル作成のためのチュートリアルコンテンツ(動画等)の拡充や、トレーニング、セミナー等の機会を増やすことも目指しています。
GEORAMAは、弊社の「地盤・浸透・耐震統合FEM解析ソフトウェアSoilPlus」などの解析ソフトウェアとの連携強化、地質断面図の境界線描画の半自動化、GUIのさらなる改良等を検討しています。
トレーニング、サポート、セミナー等でユーザ様の声を多く集め、可能な限りユーザ様のニーズを反映した形でバージョンアップをおこなっていく方針です。今後のGEORAMAにご期待ください。