HOME技術コラム 地盤・耐震解析における新しい構成則の導入

コラム:建設系

地盤・耐震解析における新しい構成則の導入

建設ビジネス推進部 プロダクト開発課 松本 拓

[2022/01/27]

2021年10月29日にSoil Plus 2021をリリースしました。(現在はSoil Plus 2021 Build1公開済み)Soil Plus 2021でリリースしました新機能について、紹介します。

多重せん断ばねの本数追加

これまでのSoil Plusでは、多重せん断ばねは、0°方向と90°方向の2本のみのモデル化が可能でした。今回のバージョンアップでは、任意の偶数本で配置できるように機能の追加を行いました。

今回機能追加しました多重せん断ばねは以下の動的非線形特性に対応しています。

  • 修正R-Oモデル
  • 修正GHEモデル(GHE-Sモデルを含む)
  • 修正R-Oモデル(拘束圧依存)
  • 修正R-O+Bowlモデル(一相系)+全微分考慮
  • 修正GHE+Bowlモデル(一相系)

※大規模オプションのみ対応。通常ソルバーは未対応。

盛土モデルを使用して単純せん断ばね、多重せん断ばねの2本モデル、4本モデルで結果の比較を行いました。

図1は最大変位の変形図で図2が最終時刻の変形図になります。最大変位図では、多重せん断ばねを使用したモデルで滑り形状が表れていますが、単純せん断ばねではすべり形状が見られず、ほぼ水平方向の挙動のみとなります。最終時刻変形図では、多重せん断ばねの4本の場合、沈下とはらみ出しが顕著に表れます。多重せん断ばね2本でも多少同様の傾向が見られますがばね本数を増やした方がより顕著に表れる形になります。

図1 最大変位の変形図

図1 最大変位の変形図

図2 最終時刻の変形図

図2 最終時刻の変形図

液状化ばね

道路橋や鉄道橋等の耐震検討に於いて、基礎構造物のように動的相互作用の強い問題では、ペンツェン系モデルが使用されます。ペンツェン系モデルで使用する相互作用ばねに剛性低下を考慮する機能を追加しました。

今回実装した液状化ばねに関しましては、RO型の履歴モデルで、剛性および基準変位に対して剛性低下を考慮するモデルとなります。

  • 剛性に対する設定
    K=K0×(G/G0)^α1
  • 基準変位に対する設定
    δr=δr0×(G/G0)^α2

実際の解析の手順は以下の通りです。
① 地盤の地震応答解析を実施し、応力-ひずみ関係を出力します。
② 割線剛性の時々刻々の剛性低下率を算出し、剛性低下率の時刻歴波形を算出します。
  (こちらは外部で実施いただく必要があります)
③ ②で作成した剛性低下率の時刻歴波形を各ばね要素に入力します。
④ ③まで完了しましたら、解析実行します。

関連製品についてはこちら

地盤・浸透・耐震解析システム Soil Plus
https://www.engineering-eye.com/SOILPLUS/