コラム:再生可能エネルギー
エネルギービジネス推進部 髙市 和義
[2021/12/21]
我々が暮らしている地表から宇宙に向かっては、何光年先までの可視化技術が存在しますが、地表より下の地下を可視化することは、たかだか数キロ先でも複雑な地層があり困難です。また、有限要素法や差分法で変形解析等を実施する困難さは、「金属」→「コンクリート」→「地層」と難しくなります。
地表に現れている地層の例
さて、地下を可視化する手法としては以下のようなものがあり、古くからその時代の最先端のコンピュータを駆使して主に石油開発、金属資源開発、地下開発の為に解析が実施されてきております。
物理探査、掘削により得られたデータから地下を3次元可視化した例
米国ハリーバートンWEBページより(URL:https://www.landmark.solutions/)
これらの手法で得られたデータは、膨大かつ複雑なため、コンピュータを用いて完全に自動で判断することが難しく、いわゆる「解釈」と呼ばれる人間が判断する手法が現在でも取られております。しかしながら、近年様々な分野で適用が進む最新AI手法のうち、CNN(Convolutional Neural Network)やRNN(Recurrent Neural Network)を利用することにより自動化の一端が見えてきたように思います。
CTCでは、海洋、地熱、地下開発分野において、これらの手法の適用を進めております。また、米国ハリーバートン社とも協力して米国における石油開発の最新AI技術を日本国内特有の海洋資源、地熱開発あるいは地震防災への応用を進めております。
CNNを適用して断層を自動解釈した例
米国ハリーバートンWEBページより
(URL:https://www.landmark.solutions/DecisionSpace-Automated-Fault-Interpretation)
ところで最新のAI技術(CNN、RNN)と言っても魔法の道具ではなく、所詮統計的解析手法の一つに過ぎず、有効な過去データや物理的解析手法との組み合わせが重要と感じています。CTCでは、これまで培った物理的解析手法をベースに最新AI(CNN、RNN)の適用で地下情報の高度利用が可能です。一方で、有効な過去データの蓄積/活用には、政府機関の支援が必要不可欠であるとともに、利用しやすい環境(データ品質、アクセスのしやすさ、セキュリティ等)を整えることも重要となります。この点についてもIT企業として取り組んで参りたいと考えております。