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コラム:建設系

Eディフェンスブラインドコンテスト

建設ビジネス推進部 建設システム課 和内 博樹

[2021/09/28]

日本は世界でも有数の地震大国であり、都市機能、人口が集中している首都圏において、災害リスクを評価するとともに、災害に備えた対策を施すことが課題となっています。産官学民が中心となって首都圏レジリエンスプロジェクトが開催され、そのサブプロジェクトにおいて2019年12月にEディフェンスで3階建て鉄筋コンクリート造による試験体の振動実験が実施されました。Eディフェンスは、防災科学研究所の兵庫耐震工学研究センターにある実大三次元振動破壊実験施設となります。この実験を対象とした、東京大学地震研究所の楠先生が主催するブラインドコンテストが開催されました。
(https://resilienceprojectc2.wixsite.com/bpc-round2)

CTCの自社開発ソフトウェアFINAS/Starに、大林組が開発したコンクリート非線形解析ソフトFINALのコンクリート非線形構成則を組込み、ブラインドコンテストに参加しました。コンテストはラウンド1とラウンド2の2回開催され、今回は、ラウンド2で実施した解析の概要、モデル化、解析結果について報告します。

試験体は実大の80%程度を想定した、平面2スパン×1スパンの3階建ての鉄筋コンクリート造で、大きな地震を受けた後にも機能が継続できる重要な建物を代表する一般的な構造となっています。

解析モデルは、対称性を考慮し1/2モデルで、コンクリートはソリッド要素、柱、はり部材の主鉄筋をロッド要素、それ以外の鉄筋は埋め込み鉄筋でモデル化しました。また、上記主鉄筋とコンクリート間に付着要素を設置しました。さらに、基礎はりとPC鋼材にも付着を考慮し基礎部の浮き上がりも考慮できるようにしています。
入力地震波は人口地震波の100%、150%、150%、160%の4波について解析を実施し、1波90秒程度で、連続加振により累積損傷を考慮しました。

弊社では、FINAS/Starに大林組が開発したFINALのコンクリート非線形構成則を組込み、受託解析サービスを開始しました。コンクリート非線形解析において実績のある構成則で、大規模モデル、長時間地震動にも対応可能となりました。

図1 解析モデル

図1 解析モデル

図2 屋根変位履歴(150%波 1回目)

図2 屋根変位履歴(150%波 1回目)

図3 屋根変位履歴(150%波 2回目)

図3 屋根変位履歴(150%波 2回目)

図4 屋根変位履歴(160%波)

図4 屋根変位履歴(160%波)

図5 1階層せん断力 - 代表点変位関係(150%波2回目 160%波)

図5 1階層せん断力 - 代表点変位関係(150%波2回目 160%波)

図6 加速度応答スペクトル(160%波)

図6 加速度応答スペクトル(160%波)

参考文献

1) Yeow TZ, Kusunoki K, Nakamura I, Hibino Y, Fukai S and Safi WA. (2021). E-defense shake-table test of a building designed for post-disaster functionality. Journal of Earthquake Engineering.

2) K.Naganuma,K.Yonezawa,O.Kurimoto,H.Eto: Simulation of Nonlinear Dynamic Response of Reinforced Concrete Scaled Model Using Three dimensional Finite Element Method, 13th World Conference on Earthquake Engineerint. Paper No.586,2004.8

関連製品についてはこちら

大規模非線形構造解析システム FINAS/STAR
https://www.engineering-eye.com/FINAS_STAR/

コンクリート構造物非線形FEM解析プログラム FINAL
https://www.engineering-eye.com/FINAL/