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コラム:建設系

地盤分野における物性値補間手法とモデル作成

建設ビジネス推進部 CIM推進課 吉田 哲也

[2021/01/29]

国交省はICTを用いた建設生産システム全体の生産性向上を目的としたi-Constructionを進めています。i-Constructionの中で、中心となる役割がBIM/CIMモデルです。BIM/CIMモデルとは、構造物や地盤などの形状を表した3次元モデルに属性情報(名称、物性値、形状情報など)が付与されたものです。これまでの2次元図面中心であった作業を3次元モデル(BIM/CIMモデル)中心の作業にすることで、建設・土木分野全体の生産性の向上を図ります。

上記を背景として、様々なデータを3次元モデル化する取り組みがなされています。ここで、地盤分野について考えてみます。地盤分野で取得されるデータは測定値としてサンプリングされたものが多く、3次元の「座標値」と「物性値(測定値)」をセットとした形式のデータとして表現できます。そのため、地盤全体のモデルを表現するためにはサンプリングされたデータから地盤全体を補間する機能が必要になります。

CTCが取り扱っている3次元地盤・地質モデル作成ソフトウェアGEORAMAではボーリング等の境界から地盤全体の境界面を補間し、地盤・地質モデルを作成する機能はありましたが、物性値を補間し、3次元の物性モデルを作成する機能はありませんでした。GEORAMAのバージョン2021ではこれを新たに物性値補間機能として実装しています。

GEORAMAの物性値補間機能は、空間を格子で切ったブロックモデルを作成し、「座標値」と「物性値」を含むCSV形式のデータを読み込ませることで、各ブロックに「物性値」の情報を属性として与え、凡例色表示により見える化します(図1)。任意の位置で断面を作成し、切断面(鉛直断面・水平断面)上で表示することもできます(図2)。物性値の補間手法は、物性値を重みづけして平均化し、平均化した値を各ブロックに属性情報として与えます。平均化の計算には、逆距離荷重法(IDW法)を用いています。

図1 補間結果の3次元表示

図1 補間結果の3次元表示

図2 補間結果の断面図上での表示

図2 補間結果の断面図上での表示

本機能はこれまでGEORAMAが持っていた地盤・地質モデルを作成・表示する機能に加えて、地盤に付随する物性の分布状況を見たいという利用者のご要望により実現しました。GEORAMAでは、今後も随時機能追加を図っていきたいと考えています。

関連製品についてはこちら

3次元地盤・地質モデル作成ソフトウェア GEORAMA
http://www.engineering-eye.com/GEORAMA_CIVIL3D/