コラム:機構・切削
科学システムサポートチーム 池田 佳樹・社納 真一郎
[2016/12/16]
近年、制御系の複雑化に対する解決策として、モデルベース開発手法による開発プロセスの効率化や開発期間短縮化が図られています。解析対象としては従来の機能毎のシミュレーションに加え、「システムシミュレーション」のニーズが高まっています。制御系も含めたシステムシミュレーションは計算負荷や計算時間を考慮すると、解析モデルの低次元化や定式化などのリダクションが必要となってきます。CTCではモデルベース開発やリダクションに取り組んでおり、さらに連成解析技術に関しても積極的に取り組んでおります。システムシミュレーションにおける連成解析は、複数の現象や分野を取り扱う場合や3次元効果を考慮した解析モデルなど、定式化や1次元化が難しい場合に効果を発揮します。
ここで、ひとえに連成解析と言っても様々な方法がありメリット、デメリットが存在します。これに関しては10/28に開催させていただいたCAE POWER2016名古屋で発表させていただきました。発表では適用事例として
を紹介させていただきました。
前者のLS-DYNAとMATLAB/Simulinkの連成では、倒立振子の制御を題材にした連成解析をご紹介いたしました。LS-DYNA で倒立振子の挙動を3次元のFEMモデルで計算し振子の変位を出力します。MATLAB/Simulink では振子が倒れないように制御回路で制御荷重を計算し LS-DYNAへ受け渡します。これらのデータのやり取りを例えば 1msecといったステップ間隔で行うことで、異なるソルバー間の連成を実現させます。
後者のAbaqusとDymolaの連成では、油圧駆動する飛行機のフラップの制御について、構造・流体・制御の3種類の連成解析として実現いたしました。Abaqus では飛行機のフラップ機構をモデル化してフラップ角度を出力します。Dymolaでは油圧回路と制御回路をモデル化し目標となるフラップ角度となるように油圧制御を行います。
これらの事例は3次元効果を考慮した解析モデルであり、構造部の挙動の定式化や1次元モデル化が難しい場合の1つの解決方法となります。また、制御システム設計の際に振動やたわみ等の構造側の挙動を考慮した検討を行うことは、実機調整の期間短縮に役立つものと考えられます。CTCではこれまで培ってきた連成解析のノウハウを活用し、連成解析システムの構築サービスも実施しております。
連成解析をご検討される際には、ぜひ1度お声がけ頂ければと存じます。
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