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コラム:熱流体

配管応力解析における流体力の考慮

科学システムサポートチーム システムシミュレーション技術課 小山 敦久

[2016/04/15]

流体を輸送する配管系には自重や熱膨脹、地震、内部流体の動きなどにより荷重が作用します。配管設計者は配管応力解析システム等によりこれらの荷重に対する配管応力を解析し、安全な設計となっているか、また過剰設計ではないかを確認する必要があります。この判断を正しく行うためには配管系に作用する荷重とその解析手法について理解しなければなりません。ここでは配管系に存在するポンプの急停止やバルブの急閉止が生じた場合に顕著となる、内部流体による荷重を流動解析システムと配管応力解析システムの連携により評価する手法をご紹介します。

内部流体による荷重の発生要因には流体の重さ、曲り等による流体の運動量の変化、配管前後の内圧の差などがあります。これらの要因は流体を圧送するポンプの運転状態や流路中に存在するバルブの開閉状態の変化により時々刻々と変化するため、荷重も時刻歴に変化します。例としてポンプの急停止やバルブの急閉止が起きた場合には、内部流体の速度が急激に変わることで圧力の上昇または下降(水撃)が生じます。このとき配管前後の圧力差が大きくなるため配管にかかる荷重も顕著になります。また、水撃により生じた圧力上昇波または下降波は発生箇所から流路の上流、下流に向かって伝播するため、配管系に存在する要素に次々と大きな荷重がかかることになります。この荷重は流動解析ソフトにより求まる配管系の各ポイントにおける時刻歴の圧力変動等から算出が可能です。配管応力解析を実施する際には構造物の質量による慣性力を考慮するため、算出した内部流体による荷重をインポートし、時刻歴解析を実施します。

図

上記の手順で内部流体による荷重を考慮した配管応力解析を実施することが可能ですが、実際には 1. 流動解析用モデルと配管応力解析用モデルの構築、 2. 流動解析結果から荷重への変換、3. 配管応力解析システムへの荷重のインポートの3つの作業が発生します。1次元熱流動解析ソフトウェアFlowmasterと配管応力解析システムAutoPIPEではこれらの手順をスムーズに実施する機能を備えています。

  1. 流動解析用モデルと配管応力解析用モデルの構築
    Flowmaster及びAutoPIPEは配管CADの中間ファイルからモデルを自動生成する機能を持つため、配管CADデータがあれば両モデルを一から構築する必要がありません。
  2. 流動解析結果から荷重への変換
    Flowmasterは流動解析結果から各配管に働く荷重を自動的に計算して出力します。荷重計算のために特別な設定は必要ありません。
  3. 配管応力解析システムへの荷重のインポート
    内部流体による荷重の計算結果をFlowmasterからファイルに出力し、出力されたファイルを変換プログラムを用いてAutoPIPEにインポート可能な形式に変更することが可能です。

以上のように解析の精度向上や解析時間短縮のためには複数のソフトウェアを連携、連成させることも必要です。CTCでは今後もこういった動きを推進していきます。

関連製品

1次元熱流動解析ソフトウェアFlowmasterの紹介ページはこちら
http://www.engineering-eye.com/FLOWMASTER/

配管応力解析システムAutoPIPEの紹介ページはこちら
http://www.engineering-eye.com/APIPE/