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建築・土木のための構造最適化入門京都大学大学院 工学研究科 建築学専攻 大崎 純 准教授

講座概要

本講座では、最適化設計の定義、役割、分類解説から始まる第一章に続き、数理計画法の基礎に触れ、設計感度解析、構造最適化、形状最適化、組合わせ最適化など、建築・土木あるいは機械構造分野にも通じる最適設計のトピックを扱っている。

最適化によってもとめられるもの(本講座第1章より抜粋)

制約条件(設計条件)を満たす解を求める通常の構造設計の観点からは、最適化によって、次のような成果が考えられる。

  • 制約条件が適切に与えられれば、構造最適化を実行するこ  とによって、必ず制約条件(設計条件)を満たす解が得られる。
  • 超大空間構造や特殊構造などで、熟練設計者でも制約条 件を満たす解を見つけるのが困難な場合には有効である。
  • 経験によって得られた解からスタートすれば、少なくとも改 悪されることはない。 また、意思決定過程の透明性の観点か らは、つぎのような成果が得られる。
  • 構造物のコストや性能に関わる入力パラメータを種々の値 に変更して最適解を求めれば、設計の費用対性能効果や意思決定の理由が明確になる。

もう少し夢のある成果を期待するならば,つぎのようなことも考えられる。

  • これまでになかったような構造形式を発見する。
  • 通常の設計法では実現困難な大規模かつ特殊形式の構造を実現する。

ところが、建築の分野では、これまでは以下のような理由で構造最適化に対して消極的な面が見られた。

  • 建築構造物は単品生産なので、最適化の効果が小さいのではないか。
  • 構造物の形状は、意匠設計と建築計画によってほぼ確定するので、構造最適化の余地は少ないのではないか。

確かに建築構造物は単品生産であるが、家電製品などと比べると規模は大きく、最適化によって数%でもコストを削減できれば、莫大なコスト削減に繋がる。また、仕様設計から性能設計への移行が進むと、設計問題を自然な形で最適設計問題として定式化することが可能になる。
さらに、設計プロセスの透明化も必要とされてきた。このような状況において、最適設計の役割は、ますます大きくなるものとと予想される。

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  第1章 最適設計の概要 PDF
第2章 数理計画法の基礎
第3章 設計感度解析
第4章 最適設計法
第5章 形状最適化
第6章 組合わせ最適化問題
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目次

 
  第1章 最適設計の概要 [公開中]
1.1 最適設計とは
1.2 最適設計問題の一般形式
1.3 最適化のために必要なもの
1.4 最適化によって得られるもの
1.5 最適設計問題の分類
 
  第2章 数理計画法の基礎 [公開中]
2.1 数理計画問題の分類
2.2 線形計画法
2.3 非線形計画法
 
  第3章 設計感度解析 [公開中]
3.1 設計感度解析の概要
3.2 静的応答量の設計感度解析
3.3 固有振動数の設計感度解析
3.4 線形座屈荷重係数の感度解析
3.5 トラスの形状感度解析
 
  第4章 構造最適化 [公開中]
4.1 構造最適化の概要
4.2 最適設計問題と最適性条件
4.3 崩壊荷重係数制約
4.4 応力制約
4.5 最適性規準法
4.6 コンプライアンス制約
 
  第5章 形状最適化 [公開中]
5.1 形状最適化とトポロジー最適化の概要
5.2 トポロジー最適化の困難点
5.3 固有振動数制約
 
  第6章 組合わせ最適化問題 [公開中]
6.1 組合わせ最適化
6.2 分枝限定法
6.3 動的計画法
6.4 局所探索法
6.5 発見的手法
6.6 擬似焼きなまし法
 

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