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等方成分を考慮したCMT解析―断層性地震と火山性地震の震源メカニズムの違い―日本地球惑星科学連合2011年大会

概要

現在、差分法や有限要素法などによる地震動シミュレーションにおける震源モデル(CMT解)としては、等方成分を考慮しないモデルを使用するのが一般的である。しかし、火山性地震などでは、等方成分も地震動特性に無視できない影響を及ぼすものと考えられる。震源メカニズムの異なる様々な地震を対象として地震動を評価するには、地震動に含まれる等方成分の影響も考慮する必要があろう。このような背景から、最初のステップとして、等方成分を考慮したCMT解析を行い、断層で発生する地震(断層性地震)と火山性地震の震源メカニズムの違いについて検討する。
断層性地震の震源メカニズムではダブルカップル成分が卓越し、等方成分はほぼ含まれないと考えられる。よって、断層性地震を対象にしたCMT解析では上述の通り、等方成分はゼロであると仮定するのが一般的である。この仮定によって、求めるモーメントテンソルの独立成分を6つから5つに減らすことができ、インバージョンにおける拘束条件となるため、安定した計算が行える
本研究では、等方成分が考慮できる機能を追加して断層性地震と火山性地震の記録に適用したCMT解析を行い、両者の震源メカニズムの違いについて検討する。まず、断層性地震である2008年岩手・宮城内陸地震の記録に適用した結果、等方成分が0%であるCMT解が得られた。なお、この結果は等方成分を考慮していないF-netによるCMT解とほぼ同等であった。
つぎに、火山性地震である2000年三宅島地震[菊地・山中(2000)]の記録に適用した結果、等方成分約35%・震源深さ2kmと、断層性地震とは顕著に異なるメカニズムが得られた。なお、Dreger et al.(2000)は、火山性地震のCMT解では等方成分が30~40%程度であることを示しているが、この結果と照らし合わせてみても本研究の結果は妥当であると考えられる。 以上より、断層性地震と火山性地震の震源メカニズムは顕著に異なり、等方成分を考慮したCMT解析によってその違いを検出できることがわかった。

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  日本地球惑星科学連合2011年大会
等方成分を考慮したCMT解析
―断層性地震と火山性地震の震源メカニズムの違い―
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