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関連ソフトウェアLS-DYNA:非線形・動的・流体構造連成シミュレーションツール

新機能紹介

LS-DYNA Version970 リリースガイド

V970のために、2001年から2002年の間に多くの新しい機能が加えられました。下記に示された新しい機能の幾つかは、V960のリリースの後に加えられました。ほとんどの新しい陽解法機能がMPPとSMPの両方に対して働きます。しかしながら、MPPにおける陰解法機能では、拡張性のある固有値ソルバーや全体マトリックスにおけるコンストレイント方程式の並列化の開発が必要であり、これは未だ作業中です。なお、2003年に計画されているV970の後のリリースでは、陰解法に対して拡張される予定です。

下記に新しい機能と特徴を示します。

  • MPP分解は*CONTROL_MPP_DECOMPOSITIONコマンドを用いて制御されます。
  • ALE流体機能はSMPとMPPの両方でエアバッグの展開に対して働きます。
  • オイラー同士のカップリングが*CONSTRAINED_EULER_TO_EULERコマンドを用いて有効となりました。
  • 最大10のALEマルチマテリアル・グループが使用可能となりました。今までの制限は3つのグループでした。
  • マルチマテリアルのセルの初期化の間に、Volume fractions が自動的にアサインされます。 *INITIAL_VOLUME_FRACTIONのGEOMETRYオプションを参照。
  • 新しいALEスムージング・オプションが衝撃フロントを正確に予測するために有効となります。
  • *DATABASE_FSIを用いて、流体と構造の相互作用をアスキーファイルDBFSIへ出力させます。
  • エアバッグのインフレータに対して点ソースが有効となりました。インフレーターの基点とマスフローベクトルは時間で可変させることが可能です。
  • ソリッドに対する材料モデルの大多数がSPHを用いた計算で有効となりました。
  • エレメント・フリー・ガラーキン法(EFG)が2次元ソリッドと3次元ソリッドで有効となりました。これは、未だMPPでは使用できません。
  • アスキー出力ファイルのバイナリー・オプションが有効となりました。このオプションは全てのASCIIファイルに当てはまり、多くの個別のASCIIファイルの情報を全て含む1つのバイナリー・ファイル(BINOUT)が作成されます。
  • 材料モデルを長いキーワード名の代わりに材料番号により定義することも可能になりました。例えば、*MAT_PIECEWISE_LINEAR_PLASTICITY*MAT_024と入力できます。
  • NASTRAN入力データの直接読み込みのための、組み込み型NASTRANリーダーが有効となりました。このオプションは直接読み込むNASTRANの典型的な入力ファイルを追加入力なしに読めます。*INCLUDE_NASTRANを参照して下さい。
  • *PARAMETERオプションを使用することで、パラメータ解析が容易になりました。(パラメータ化する入力データ内のデータ欄に任意のラベルを入力し、*PARAMETERオプションでそのラベルと対応する値を与えます。)
  • 主なASCII出力ファイルに対して、モデルの説明書がオプションとなりました。このオプションはファイルの内容を記録するASCIIファイル内に記述子を含ませます。
  • 次のキーワードコマンドにID番号とラベルを付加できます。
    *BOUNDARY_PRESCRIBED_MOTION
    *BOUNDARY_SPC
    *CONSTRAINED_GENERALIZED_WELD
    *CONSTRAINED_JOINT
    *CONSTRAINED_NODE_SET
    *CONSTRAINED_RIVET
    *SONSTRAINED_SPOTWELD
    *DATABASE_CROSS_SECTION
    *ELEMENT_MASS
  • ADAMS用のニュートラルファイルd3mnfを出力できます。*DATABASE_ADAMSを参照。これはADAMSライブラリーファイルにリンクさせるユーザのリクエストに答えたものです。
  • 接触のオプションの貫通のワーニング "ignore initial penetration" がオプションとして追加されました。以前は、このオプションがONの場合、貫通のワーニングは出力されませんでした。
  • シェルの面内の節点に対する貫通のワーニングがAUTOMATICタイプでプリントされます。以前は、これらの節点がオフセットなしのタイドインターフェースに含まれると仮定されたので、これらの節点は無視されていました。
  • 任意のスポット溶接オプション(*MAT_SPOTWELD)において、スポット溶接された節点とそれらの接触セグメントがD3HSPファイルにオプション出力されます。(*CONTROL_CONTACTを参照)
  • 任意のスポット溶接オプション(*MAT_SPOTWELD)において、スポット溶接された節点がマスターセグメント上で見つからなかった場合、エラー終了させるオプションが付加されました。(*CONTROL_CONTACTを参照)
  • スポット溶接として用いられるソリッド要素に対して、スポット溶接の合力がSWFORCファイルに出力されます。
  • ソリッド材が破壊要素のリポートに加えられ、そして追加情報 "node is deleted" が書き出されます。
  • 計算を終了させる新しいオプションが付け加えられました。(*TERMINATION_CURVE)
  • 2次のテトラ要素(4点または5点積分)が有効となりました。これは陰解法においても使用できます。
  • Pian-Sumiharaの膜要素と合体したウィルソンのプレート要素に基づく新しい4節点線形シェル要素が利用できます。要素タイプは21です。
  • せん断パネル要素が線形問題で付加されました(タイプ22)。この要素は陰解法でも使用できます。
  • 可視化のためのnullの梁要素が使用できます。この要素を定義するデータカードは*ELEMENT_PLOTELであり、NASTRANとの互換性のために必要とされます。
  • スカラー節点(*NODE_SCALAR)がバネ・マス系に対して定義できます。この節点は1から6のスカラー自由度を持つことができます。
  • 板厚方向の熱伝導を考慮できるシェル要素が付け加えられました。内部的に、シェルの中面の上下に8節点が追加され、シェルの板厚方向に2次の温度場がモデル化されます。内部的にこのシェル要素は12節点のソリッド要素となります。
  • 梁要素のオフセットが*ELEMENT_BEAMで可能になりました。全ての梁定式がシェルのスティフナーとして使用できます。
  • 梁要素の局所座標系の定義方法(*ELEMENT_BEAM)が、NASTRAN互換のために、第3番目の節点の代わりにベクトル定義も可能になりました。
  • 非構造質量が、トリムマスやNASTRAN互換のために、梁要素に付け加えられました。
  • 異常終了を避けるためにシェル要素のチェッキングが可能となりました。*CONTROL_SHELLを参照。このオプションをONにすれば、要素のゆがみが大きくて反転してしまうものを見つけるために、各時間増分毎にチェックされます。もし、異常が見つかれば、シェル要素を削除して計算を続行するか計算を終了させます。後者は入力データで制御されます。
  • 慣性のオフセットが*ELEMENT_INERTIA_OFFSETで可能となりました。これは節点位置からオフセットされる慣性テンソルを許容します。
  • 塑性ひずみと板厚の初期化がドロービード接触に加えられました。
  •   *CONTACT_DRAWBEAD_INITIALIZEを参照。
  • コンストレイント式と梁要素の両方に基づくオフセット付タイド接触が節点当たり3自由度のソリッド要素と6自由度のシェル要素に対して有効となりました。_BEAM_OFFSET、_CONSTRAINED_OFFSETを参照。このオプションは剛体運動に対して問題を引き起こしません。
  • セグメントベース接触(SOFT=2)がMPPで可能となりました。
  • エッジ-エッジ接触や滑り状態、ねじりがあるセグメントを含む接触状態に対してセグメントベース接触の改良が行われました。
  • 内部接触機能がソリッド要素の大きなせん断変形を扱うために改良されました。特別な内部接触アルゴリズムがテトラ要素に対して有効となりました。
  • MADYMO6.0とのカップリング機能が強化されました。
  • 節点剛体(*CONSTRAINED_NODAL_RIGID_BODY)中の節点の自由度の解放フラッグが有効となりました。これは節点剛体をNASTRANのRBE2とほとんどコンパチブルにします。
  • メタルフォーミング問題において、運動していない剛体の回転自由度を無視することで剛体の処理速度を速くすることができます。*CONTROL_RIGIDを参照。
  • SPC拘束を持つ節点剛体(*CONSTRAINED_NODAL_RIGID_BODY)に質量中心の拘束を局所座標系または全体座標系のどちらかに課すことができます。
  • ジョイントの破壊をシミュレーションするために、合力に基づくジョイント破壊が扱えるようになりました。
  • CONSTRAINED_JOINT_STIFFNESSが併進、円筒ジョイントに対して併進オプションが付け加えられました。
  • 併進合力の関数である摩擦モーメントをテーブル入力して使用するジョイント摩擦が有効となりました。(*CONSTRAINED_JOINT_STIFFNESS)
  • 節点結合オプション、*CONSTRAINED_INTERPOLATION*CONSTRAINED_LINEARは局所座標系での拘束が可能になりました。
  • 計算時間の短縮のために、メッシュの粗密化が自動車のクラッシュモデルで計算の初めに適用されます。*CONTROL_COARSEN参照。
  • シートベルトのプリテンショナーに、時間-力の入力が付け加えられました。
  • シートベルトのスリップリングにおいて、静摩擦と動摩擦が有効となりました。以前は一つの摩擦定数だけが設定可能でした。
  • *MAT_SPOTWELDに速度効果を持つ新しい破壊モデルが追加されました。
  • 次の構成モデルが追加されました。
    離散梁要素に対して:
    *MAT_1DOF_GENERALIZED_SPRING
    *MAT_GENERAL_NONLINEAR_6DOF_DISCRETE_BEAM
    *MAT_GENERAL_NONLINEAR_1DOF_DISCRETE_BEAM
    *MAT_GENERAL_SPRING_DISCRETE_BEAM
    *MAT_GENERAL_JOINT_DISCRETE_BEAM
    *MAT_SEISMIC_ISOLATOR
    シェルとソリッド要素に対して:
    *MAT_PLASTICITY_WITH_DAMAGE_ORTHO
    *MAT_SIMPLIFIED_JOHNSON_COOK_ORTHOTROPIC_DAMAGE
    *MAT_HILL_3R
    *MAT_GURSON_RCDC
    ソリッド要素に対して:
    *MAT_SPOTWELD
    *MAT_HILL_FOAM
    *MAT_WOOD
    *MAT_VISCOELASTIC_HILL_FOAM
    *MAT_LOW_DENSITY_SYNTHETIC_FOAM
    *MAT_RATE_SENSITIVE_POLYMER
    *MAT_QUASILINEAR_VISCOELASTIC
    *MAT_TRANSVERSELY_ANISOTROPIC_CRUSHABLE_FOAM
    *MAT_VACUUM
    *MAT_MODIFIED_CRUSHABLE_FOAM
    *MAT_PITZER_CRUSHABLE_FOAM
    *MAT_JOINTED_ROCK
    *MAT_SIMPLIFIED_RUBBER
    *MAT_FHWA_SOIL
    *MAT_SCHWER_MURRAY_CAP_MODEL
  • *MAT_ADD_EROSIONに、ソリッド要素用に破壊時刻の設定が可能になりました。
  • *MAT_LOW_DENSITY_FOAM*MAT_LOW_DENSITY_VISCOUS_FOAMにおいて、ダンピングが微小な伸び率のテーブル関数として設定できます。
  • *MAT_PLASTICITY_WITH_DAMAGEにおいて、ひずみ速度のテーブル定義が可能になりました。
  • *INCLUDE_STAMPED_PARTの改良として、加工解析で得られたパートの全ての履歴データがクラッシュ解析用のモデルにマッピングされるようになりました。
  • トリミング機能の大規模な改良により、トリミング終了後、より良いメッシュが得られるようになりました。また、局所座標系または全体座標系で定義できるようにもなりました。*DEFINE_CURVE_TRIM参照。
  • 接触問題を解く前に、パートを近くに移動させるオプションが利用できます。*CONTACT_AUTO_MOVE参照。
  • 計算の最中に離散梁要素を加えたり取り除いたりすることが可能となりました。*PART_SENSOR参照。
  • 複数点の噴射が、"Hybrid and Chemkin" エアバッグ・インフレーターモデルで利用可能となりました。
  • ほとんど全てのCONSTRAINTタイプが陰解法で扱えるようになりました。
  • 強制モードと取り付けモードの計算が*CONTROL_IMPLICIT_MODESを使用して簡単に行うことができます。
  • ペナルティーオプションが全ての*RIGIDWALLオプションに適用可能となりました。*CONTROL_CONTACT参照。そして、陰解法でも使用可能です。
  • 節点当たり6自由度を持つタイプ3とタイプ4のソリッド要素(4節点と8節点)が陰解法でも利用可能となりました。
  • Belytschko-Tsayのシェルに対するねじり剛性オプションが陰解法においても提供されます。Belytschko-Wong-Changのシェル要素も陰解法で使用可能となり、Drill Projection以上に正確なFull Projection法が提供されます。
  • 剛体-変形体の切り替え機能が陰解法でも提供されます。
  • 陰解法と陽解放間の自動切換え機能が使用可能となりました。 *CONTROL_IMPLICIT_GENERALを参照。
  • 陰解法動的解析において、剛体が使用可能となりました。*CONTROL_IMPLICIT_DYNAMICを参照。
  • 固有値の計算を過渡計算の合間合間に行うことができます。
  • 線形座屈オプションが提供されます。*CONTROL_IMPLICIT_BUCKLEを参照。
  • 陰的な初期化が動的緩和に代わり使用できます。*CONTROL_DYNAMIC_RELAXATIONのパラメータIDFLG=5。
  • スーパーエレメント(*ELEMENT_DIRECT_MATRIX_INPUT)が陰解法で使用可能となりました。
  • *BOUNDARY_CYCLICにおいて、全体直行座標系における対称面の設定が拡張され、対称面上の節点の自動ソーティングが行われます。
  • 鉄道問題におけるホイールと線路のモデル化が有効となりました。*RAIL_TRACK*RAIL_TRAINを参照。
  • 新しくて速い要素が、要素が全体座標系で揃っているとき、振動研究に対して有効となりました。 *SECTION_SOLID*SECTION_SHELLの定式98。
  • ある周波数範囲に近似的な一定の減衰を与えるオプションが提供されます。 *DAMPING_FREQUENCY_RANGEを参照。