THESEUS-FE自動車室内熱環境シミュレーションプログラム
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THESEUS-FEは自動車の室内の空調解析を熱環境条件の全てを境界条件とし輻射伝熱を考慮して行なうことができます。さらに、乗員の熱マネキンモデルによる快適性の評価まで可能です。 ![]() |
Version 4.0の新機能
1. 概要
THESEUS-FE Version 4.0が2011年6月にリリースされました。以下にその新バージョンに搭載された新機能についての要点を記述します。
- Windows 版とLinux版のGUIの各機能が改良(レスポンス短縮、大規模モデル対応)
- ソルバーの高速化(最大で2倍高速化)
- 快適性と温冷感を評価できるZhangモデルの搭載
- 透過率の波長依存性の考慮
- 自然対流による成層化温度分布近似関数の導入
- Hemisphere法によるふく射形態係数計算手法の導入
- 局所閉空間内の雰囲気温度温分布の考慮
- 多層Carbon Fiber Reinforced Plastic (CFRP)の扱いが可能
- 接触熱伝達率の新高速計算法の導入
- Transformerの新機能の追加
2. GUIの改良
- 100万要素以上の大規模モデルの扱いが可能
- 3次元処理の高速化
- tfeファイルの読み込可能
- 計算モデルのマージ可能
- 最新のFIALAモデルの採用
- WindowsとLinux(32/64bit)
- Nastran用材(MAT4,MAT5)
- 旧版tfeファイルの新版への自動変換
- 形状操作:移動、回転、拡大縮小

3. ソルバーの高速化
新しい前処理技術を取り入れたマトリックスソルバーを採用して反復回数を低減。

4. Zhangモデルによる快適性と温冷感の評価
熱マネキン:FIALA-FEの部位ごとにZhangモデルによる局所快適性:Lcと局所温冷感:Slを計算し、それらの値を熱マネキン表面に図化表示可能とした。また、人体平均値である総括快適性:Coと総括温冷感:Soも計算される。
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5. 透過率の波長依存性の考慮
実際の材料(ガラス等)におけるふく射物性値は表面に到達する電磁波(日射)の波長:λ に依存します。THESEUS-FEではこの現象を考慮した計算モデルを使用可能に。
透過率:τ は入射角:φ と波長:λ の関数で表現されます。S(λ )は平均日射強度です。新しい入力キーワードを使用することで、波長と入射角に依存する関数:τ (φ 、λ )を定義できます。

6. 自然対流による成層化温度分布近似関数
キャビン内において、日射による加熱があり空調がない場合は自然対流の影響により天井付近の雰囲気温度が高くなり、フロアー付近の温度は低くなります。この自然対流による温度成層化現象をZ軸方向の近似関数により表現し、キャビンモデルに対して新キーワードAIRZCPLを使用することにより右図のようなエアゾーン内の成層化温度分布を求めることが可能になりました。

7. Hemisphere法
今までのTHESEUS-FEにはsurface-2-surface法とHemicube法がありましたが、それらに加えてHemisphere法が組み込まれました。この方法は最小限の光線追跡でも光線分布を最適化することで最高の精度を達成することが可能。
![]() 100ray |
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8. 局所閉空間内の雰囲気温度温分布の考慮
前のバージョンでは自動車のA/B/Cピラー、ルーフとドア内の小さな閉空間をVOLUMEまたはAIRZONEを使用してモデル化しました。このモデル化手法では手間と時間が掛かりましたが、新バージョンでは小さな閉空間における対流熱伝達の扱いを自動的に扱えるようになりした。この機能では小さな閉空間における流体の温度T0を近くの要素表面の温度を使用して近似します。この近似手法は閉空間の流体温度はそれを囲む要素表面の面積加重平均温度になることに基づいています。

9. 多層Carbon Fiber Reinforced Plastic (CFRP)の扱い
この機能は多層カーボンファイバー強化プラスチックのような直交異方性の熱伝導性材料(MAT5)を定義する場合に使用する機能です。ファイバー繊維の方向を各層と各シェル要素に対してユーザー定義のオフセット角度を設定できます。
10.接触熱伝達率の新高速計算法
この新機能によりこれまでのMaster/Slaveの定義なしに接触熱伝達領域の設定が可能になり、レイトレーシング法を使用した接触領域の自動探索手法により探索時間が短くなりました。
11.Transformerの新機能
tfeコンバータ、MATerialsコンバータ、hdfファイル抽出、STAR CCM+との間のマップデータの交換