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コラム:熱流体

火力発電プラントの熱流体解析による性能評価

アプリケーションサービス部 CAEサービス第2課 石野 千恵子

[2019/10/25]

電気やガスなどのエネルギーは暮らしには欠かせないものになっています。
日本における発電方式としては、火力、水力、新エネルギー、原子力などがあります。2017年度の電源構成比は、LNGが約38%、石炭が約29%、石油が約3%、水力が約9%、新エネが約7%、原子力が約3%等となっています。火力発電での発電量はLNG+石炭+石油による発電量の合算となり、合計で約70%を占めています。

国内の電力のうち7割を供給する火力発電ですが、最近建設されている発電所の傾向は大きく2つあります。
石炭火力の大容量火力発電所においては、水を臨界圧力以上に高めた超臨界圧ボイラーが多く採用されています。LNGを燃料とする発電所においては、コンバインドサイクル発電が多く採用されています。コンバインドサイクル発電とは、ガスタービン発電と蒸気タービンを組み合わせて効率的に発電を行う方式です。
いずれの方式も温暖化対策等の観点から、これまで以上に効率よく電気を起こせる発電プラントが求められています。そのためにも、設計段階においてシステム全体の効率を検討することが必要となります。

FloMASTERには発電プラントの解析に適切な以下の機能があります。
発電プラント特有の機器が要素として実装されており、低コストでモデル化が可能となります。水の沸騰遷移が要素内で計算でき、適切な沸騰形態及び伝熱を評価することができます。
アメリカ 国立標準技術研究所(NIST)が作成する冷媒熱物性データベースのREFPROPが使用できます。REFPROPにより水の超臨界状態も評価できるため、超臨界圧ボイラーの模擬が可能となります。

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図1 火力発電所のモデル化例
(出典:FloMASTER Sample System Steam Power Plant)

図1は火力発電所を模擬したFloMASTERのモデルです。要素として実装されたボイラー、スチームドラム、タービン(高圧・中圧・低圧)、復水器、過熱器、再熱器、冷却塔を組み合わせてモデル化されています。
タービン等の発電に必要となる機器をモデルに組み込むことで、発電効率の評価が行えます。水の熱流動についても、効率よく発電するための構成が評価できます。
例えば解析結果として図2(左)に示すT-s線図表示ができるため、熱サイクルが図示可能です。T-s線図同様にP-h線図も作成できます。その結果正味の熱エネルギーや仕事を簡単に予測できます。
発電プラント用の要素の解析結果の出力では図2(右)にて表すようにクオリティが表示できるため、水蒸気と水の割合が示せます。復水器など、各機器の仕様検討に活用できます。

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図2 T-s線図(左)と発電プラント用要素の解析結果(右)の出力例

FloMASTERには、発電プラントにおいて効率よくプラントが設計できるようにするための機能があります。開発元及びCTCはこのような機能の改良・改善に取り組んでまいります。

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1次元熱流動解析ソフトウェアFloMASTER
http://www.engineering-eye.com/FLOWMASTER/